記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
糖尿病の合併症といえば、網膜症や神経障害を思い浮かべる方は多いかもしれませんが、ほかにも注意しなければいけない急性の合併症「糖尿病性ケトアシドーシス」があります。今回の記事では、その具体的な症状や原因、治療法について解説していきます。糖尿病患者さんはぜひご一読ください。
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)とは、命にかかわることもある糖尿病の急性合併症の一種で、血糖値を下げる働きをするインスリンが不足したことが原因で起こります。インスリンが不足すると糖をエネルギーとして利用できなくなるため、体内では代わりのエネルギー源として脂肪を分解し始めるのですが、このとき血糖値は急上昇し、また、脂肪の分解に伴い「ケトン体」という物質が血中で増加したことで、血液は酸性に傾きます。すると重度の脱水症状が起こり、ひどい場合は意識不明になってしまうこともあります。
糖尿病性ケトアシドーシスは1型糖尿病の人に発生することが多いのですが、2型糖尿病の人でも発生することがあります。
以下の症状が見られた場合、糖尿病性ケトアシドーシスの可能性があります。
・頻尿
・激しい喉の渇き
・吐き気
・腹痛
・極度の疲労感、眠気
・意識がもうろうとする、意識不明になる
これらの症状が出るまでには、通常24時間以上かかりますが、より早く発症する可能性もあります。
糖尿病性ケトアシドーシスの原因ですが、1型糖尿病の人の場合はインスリン注射の打ち忘れや投与量の不足が原因であることが多いです。また、風邪やその他の病気などで体調が悪いときは、体内ではいつもよりもインスリンが必要になるため、注射をしていてもインスリン不足の状態になってしまうこともあります。
2型糖尿病の人の場合は、清涼飲料水やソフトドリンクなど甘い飲み物の飲みすぎによって、血糖値が急上昇したことが原因で発症することがあります(「ペットボトル症候群」とも呼ばれます)。
なお、ほかにも妊娠や生理、特定の薬の服用などによって糖尿病性ケトアシドーシスが引き起こされることもあります。
糖尿病性ケトアシドーシスの治療にあたっては、基本的に病院への入院が必要です。点滴(水分や栄養素の投与)とインスリン注射が行われます。
糖尿病性ケトアシドーシスは、意識障害や重度の脱水症状などを引き起こす、命にかかわる恐れのある合併症です。急な喉の渇きや吐き気など体調の変動に注意し、意識がぼーっとしてきた場合はすぐに救急車を呼び、病院を受診しましょう。