記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/30 記事改定日: 2018/4/13
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
いまや1000万人を超える人々が高血圧に悩んでいるといわれています(※厚生労働省:「平成26年患者調査の概況」)。高血圧は日本を代表する生活習慣病と言っても過言ではないでしょう。
ここでは、高血圧の人の食事の注意点とおすすめレシピをご紹介します。高血圧は知らずに悪化してしまうので、早めの対策が重要です。ぜひ参考にしてください。
なぜ塩分を摂りすぎが高血圧によくないかというと、塩分を摂りすぎると血液中の塩分濃度を抑えるため、体は水で血液の塩分濃度を薄めようとして血液中の水分量が増えますが、このとき血液もかさ増しされ、血管にかかる圧力が高まり血圧が上昇するからです。
高血圧には「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の二種類があり、その90%以上が「本態性高血圧」とされ、明確な原因はまだわかっていません。ただ、生活習慣の乱れやストレス、食塩の摂りすぎ、加齢による血管の老化、肥満、遺伝的要因などが要因ではないかと考えられています。
一方、二次性高血圧は、腎臓病やホルモン異常など、原因となる疾患がわかっている高血圧のことです。
また、遺伝的要因に関しては、調査によって結果は異なりますが、両親が高血圧の場合は子供が高血圧になる素因を持つ確率は50%、どちらかが高血圧の場合は1/3%、どちらも高血圧でない場合は、1/20%という結果が出ています。
これが最も重要なことと言っても過言ではありません。調理のときは塩の入れすぎないように注意しましょう。そして、少しずつ薄味に慣れていくことが大切です。塩の代用品として酢、レモン、ヨーグルトの酸味を利用したり、塩分を含まないわさびなどの香辛料で辛味をつけるなどで工夫していきましょう。
タンパク質、ミネラル、ビタミンなど、必要な栄養素をバランスよく摂取しましょう。
保つべき体重を維持するため、決して食べ過ぎないようにしましょう
間食やおやつを必ず食べるなど、だらだらと食べ続けてはいけません。常にお腹いっぱいの状態が続くことは、動脈硬化が起こりやすくなるといわれています。規則正しく、しっかり噛んで味わいながら食べるように心がけてください。また、減塩とカロリーコントロールを実現するためにも、偏食、暴飲暴食、おやつの食べすぎは止めましょう。
外食やテイクアウトのメニューは塩分が多く、高カロリーで脂っこいものが多いです。しかし、外食やテイクアウトを完全に行わず、自炊だけで食事をまかなうのは非常に大変です。高血圧の予防には、基本的には自炊がおすすめですが、たまには外食やテイクアウトも楽しみましょう。
注意点としては、日本食やそばなどのあっさりしたメニューを選び、ラーメンや焼き肉など高カロリーで塩分が多い食事は避けることです。最近では、メニューにカロリーや塩分の量が記載されているレストランもありますので、参考にするのもよいでしょう。
また、味付けなどについて個別に注文できるお店では薄味を希望し、しょう油やソースなどの調味料は自分で調整するようにお願いするのもおすすめです。
高血圧の人は基本的には自炊がおすすめです。
ここでは、高血圧の人におススメのレシピを2つご紹介します。ぜひチャレンジしてみて下さい。
よく砂抜きした適量のアサリを約500㏄程度の水に入れて沸騰させます。そこに、市販のインスタントラーメンの麺を加え、記載されている茹で時間に合わせて茹でます。仕上げに付属されている液体スープの半量を投入して出来上がりです。
あさりはしっかり出汁が出るため、アサリを投入すると液体スープが半量でも味気なくなりません。また、シソやネギなどの薬味を加えてもよいでしょう。
牛肉や豚肉などのお好みの肉、野菜を適当な大きさに切り、油で炒めます。これを使用するカレールーに記載されている分量の半分の水とカットトマト1缶を投入して
よく煮込みます。最後にカレールーを1/4箱分入れ、ひと煮立ちしたら完成です。
カットトマト缶を加えることで、カレールーを減らすことができ、減塩とカロリーオフが叶えることができるメニューです。
禁酒しないといけないわけではありませんが、習慣的な飲酒は血圧を上昇させることがわかっています。その結果、脳卒中や糖尿病、末梢神経炎などの発症リスクが高まります。お酒は体を休ませながら、適量を飲む程度にしましょう。
「適量の飲酒」の目安としては、エタノール換算で男性20~30mL/日、女性10~20mL/日程度となっています。男性なら日本酒で1合程度、ビールなら中瓶1本(500ml)程度(女性はその半分程度)にあたります。
また、お酒を飲む際に注意したいのは、おつまみです。塩辛い味付けのものが多く塩分の摂りすぎにつながりやすいので、食べる量やメニューには気をつけてください。
高血圧の予防・改善には、食事の見直しだけでなく適度な運動習慣を身に付けることも必要です。しかし、ただ単に好きな運動をするだけでは高血圧の予防・改善効果は期待できません。高血圧の人には、高血圧に適した運動があり、逆に行ってはいけない運動もありますので注意が必要です。
高血圧の人によいとされる運動は、ウォーキングや水泳などの有酸素運動です。有酸素運動は心拍数や血圧の急激な上昇がなく、脂肪燃焼効果が期待できます。また、血圧を下げる効果のあるプロスタグランジンなどの物質の産生が増えることも知られており、高血圧の予防効果もあります。最も手軽に行える運動はウォーキングですが、肥満によって膝などのかかる負担を軽減したい人には水泳もおすすめです。
一方、筋肉が過度に疲労するようなダンベル上げや腕立て伏せのような無酸素運動は避けた方がよいです。これらの運動は、筋肉に乳酸が蓄積します。乳酸はバソプレシンやアンジオテンシンなどといった血圧を上昇させるホルモンの分泌を促すことがあり、高血圧の予防には逆効果です。また、無酸素運動のような瞬発力を必要とする運動は、急激に血圧やと拍数を上昇させ、心臓や血管に過度な負担をかけることになります。
高血圧の人は自分の症状に適した運動を行うようにしましょう。
高血圧は自覚症状がないまま静かに進行し、ある日突然命に関わるような合併症を引き起こすため、別名「サイレント・キラー」と呼ばれています。
しかし、かすかな変化が現れることもあるため、注意深く観察すれば自覚症状に気づくことができる場合もあります。まず頭痛や耳鳴り、肩こりから始まり、その後胸痛、動悸、呼吸困難、むくみなどに移行するケースが多いようです。
ただし、これらは高血圧が直接引き起こした症状ではなありません。高血圧によって引き起こされた疾患の症状であることを理解しておきましょう。
つまり、自覚症状が現れたときには、心筋梗塞や狭心症、不整脈、脳梗塞などの一歩手前である可能性が高いのです。
仕事の悩みや睡眠不足などでイライラすると血圧が上がります。ストレスを溜め込まないように注意しましょう。
また、寒くなると血管が収縮して血圧は上がります。屋外と屋内の急激な温度変化も高血圧につながるので、冬の血圧管理には十分に気をつけてください。
食べすぎに注意するのはもちろん、濃い味から薄い味に切り替えていきましょう。高血圧の敵は塩分です。代替の食品などを使いながら、少しずつあっさりとした味付けに慣れていきましょう。
また、食事だけでなく適度な運動やストレス対策も重要です。これ以上悪化させないためにも、生活習慣を見なおすようにしてください。