記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
関節が変形するとともに痛みも伴う難病、関節リウマチ。はっきりした原因や治療法を含め、まだまだわからないことの多い病気ですが、ここではこの病気について、今わかっている基本的な情報をまとめました。
関節リウマチは自己免疫疾患の一つで、関節の表面の滑膜に炎症を起こす疾患です。炎症が長期間に及ぶと関節自体が破壊されることもあります。
関節リウマチはもちろん関節に炎症を起こしますが、その他にも皮膚や目、肺、心臓、神経など全身の様々な臓器にも炎症を引き起こします。
また、症状は出たり治まったりする変動も持ちますが、慢性的に炎症は遷延して徐々に悪化する傾向があります。進行を遅らせたり、止めるためには、関節が破壊される前の早期の治療が肝心となります。
罹患関節には炎症が起きており痛みや腫れを伴います。基本的には対称的に起こるため、体の両側(手首、膝、手など)に同時発生します。
他の症状としては、とくに朝、目覚めたときなど、しばらく動かなかった後の関節のこわばり、倦怠感、微熱なども含まれます。
また、一般的に症状は数年かけてじわじわと進行していきますが、人によってはすぐに発症します。
関節の炎症により軟骨と骨が破壊され、感染した関節を変形させることがあります。病状が悪化すると、痛みも発生し、うまく動かなくなるかもしれません。
関節リウマチは、関節以外の臓器や部位にも、以下のような影響を及ぼすことがあります。
・間質性肺炎、気管支拡張症:関節リウマチの患者の多くに肺病変が出現します。
・リウマチ結節:皮膚の下や内臓にできるこぶ
・胸膜炎:おもに肺を覆っている胸膜に炎症が起こります
・心膜炎:心臓を囲む心膜に炎症が起こります。
・貧血:慢性的な炎症によって貧血が起こります。
・血管炎:全身の血管に炎症が起こります。
たいていは、30~60歳の間に発症しますが、若年層や高齢者もかかる可能性があります。また、喫煙者や、身内の中にこの病気を持っている人がいる場合は、発症の可能性が上がります。
科学者たちはまだ、この病気になる正確な理由を見つけていません。ただ、遺伝的なリスク要因を持って生まれた人が、特定の感染が引き金となって発症するというのは、考えられる要因のひとつです。
症状が出たり治まったりするため、初期段階で診断することは難しいです。しかし、次のような症状がある場合は、医師はさらなる検査を受けるよう指示するかもしれません。
・朝の関節のこわばり
・複数の関節に痛みや腫れがある
・手首、手、指の関節の腫れ
・体の両側で左右対称性に同じ部位の関節に症状が出ている
・皮膚の下に硬いこぶができている(リウマチ結節)
残念ながら、進行してしまった関節リウマチは完全に治癒させることはできない病気です。しかし、早期の治療によって関節の炎症や破壊を制御することで関節リウマチの患者さんの予後は劇的に改善されました。
医師は、年齢や感染している関節、病状などを含め、あなたの状態に合わせた治療計画を立ててくれます。それには、関節の周りの筋肉を強化するための薬や運動も含まれます。また、人によっては、手術が必要です。
関節リウマチを治療するための薬には、病気の進行を遅らせたり止めたりするための薬やステロイド、鎮痛剤が含まれます。
複数の薬を服用する必要も出てくるかもしれません。たとえば、痛み止めと、関節をさらなる損傷から守るための薬の2つを服用する場合があります。
関節の損傷が多かったり、痛みがひどかったりした場合は、手術を提案されるかもしれません。膝や股関節の関節置換術は、関節リウマチの患者が最もよく受ける手術です。
日常生活に影響を及ぼし、罹患した人のQOLに大きな影響を与える関節リウマチ。しかし、上記のように研究によっていろいろなことが解明されてきています。また、進行速度を緩めることも可能になってきていますから、患者さんも希望を持って治療に取り組んでいきましょう。