しゃっくりが頻繁に出てつらい・・・対処法はある?

2017/8/31

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

シーンとした会議中や食事中などに、突然しゃっくりが出てとまらないことはありませんか? うまく呼吸や会話ができなくて、苦労するものですよね。普通はすぐに留まるものですが、長く続く場合もあります。この記事ではしゃっくりについてまとめました。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

しゃっくりが頻繁に出る人の特徴

「しゃっくり」は医学的には吃逆(きつぎゃく)といいます。咳やくしゃみなどと同じ呼吸器系の反射運動のひとつです。誰にでも起こる症状で、多くは数分から数時間でおさまりますので、治療の必要はありません。

しかし、症状が持続したり、頻回に出現したりする場合は治療が必要です。

吃逆の種類

その持続時間から、3 つに分類されます。
・吃逆発作 :48 時間以内でおさまるもの
・持続性吃逆:48 時間以上、1 か月以内のもの
・難治性吃逆:1 か月以上続くもの
持続性・難治性吃逆は、男性に圧倒的に多いもので、男女比 5:1 以上という報告があります。男性の持続性吃逆の約 90%は器質的疾患が原因であり、女性の持続性吃逆の約 90%が心因性であるという報告があります。

しゃっくりが頻繁に出てしまう原因は

吃逆の原因

吃逆発作は、ふだん日常生活のなかで誰にでも起こりうるものです。
原因を次に挙げます。
・胃拡張
(食事やアルコールの過剰摂取、炭酸飲料、内視鏡検査の空気注入)
・胃腸やその周囲の温度の急激な変化
(冷たいシャワーを浴びたとき、温かなあるいは冷たい飲み物を飲んだとき)
・急に生じた興奮やストレス、禁煙 など

一方、持続性や難治性の吃逆は、原因に重大な疾患があります。その原因は、心因性・器質性・特発性の 3 つに分類されます。
詳しくは、次の項目で説明します。

吃逆の治療と対策

吃逆の多くは一時的なものであり、治療の必要はありません。しかし、長時間持続し、ひんぱんに起こる場合は生活に困難をきたします。その場合は治療が必要です。

原因が特定されている場合は、その疾患の治療を行います。原因が不明な場合の治療方法には、非薬物療法と薬物療法とがあります。どちらも対症療法です。

非薬物療法を試み、非薬物療法で効果がみられない場合や持続性、難治性吃逆には、薬物療法を検討しましょう。

<非薬物療法>
舌を引っ張る、綿棒で口蓋垂・咽頭を刺激する、水でうがいする、
氷水を口に含む、息こらえ、驚かせる、眼球圧迫、頸動脈洞圧迫(少し危険なのであまり推奨されません)など

<薬物療法>
*抗精神病薬(クロルプロマジン、ハロペリドール)
*抗てんかん剤(クロナゼパム、バルプロ酸ナトリウム)
*柿蔕(シテイ)湯・・・乾燥させた柿のへたを煎じたもの
いずれの薬剤も吃逆に対する効果ははっきりとはされていません。

頻繁なしゃっくり、病気が原因の場合もあるって本当?

しゃっくりは、医学的に説明すると、「繰り返す不随意な横隔膜の反射性収縮とそれに引き続く突然の声門閉鎖」であり、急激な吸気に引き続き、突然の声門閉鎖が起こるため、特徴的な音(ヒック)を伴います。
難治性吃逆の場合は、原因が存在することがあるので、原因を究明し、可能であればその除去が重要となります。中には重篤な疾患もありますので、一通り検査をすることになるでしょう。

持続性・難治性吃逆の原因

持続性・難治性吃逆の原因には下記のものが挙げられます。その原因は、心因性・器質性・特発性の 3 つに分類されます。

・心因性(ストレス、興奮、人格障害、ヒステリー性神経症)
・器質性 (脳腫瘍、脳出血、頭部外傷、心膜炎、肺炎、甲状腺腫、狭心症、
胃潰瘍、胃癌、薬、アルコール中毒、糖尿病、インフルエンザ、結核 など)
・特発性 (原因不明)

おわりに:頻繁にしゃっくりが出るときは、念のため病院で診てもらおう

しゃっくり(吃逆)が続くことで嘔吐や呼吸困難といった二次的に起こる辛い症状に苦しんでいる方も多く見られます。
服薬などの治療のほか、生活習慣の改善が必要な方も多いため、1か月以上続いている方は、病院で診察を受けましょう。

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