出産を促す「バルーン誘発分娩」 ~ 費用やリスクも知っておこう!

2017/9/20 記事改定日: 2018/4/2
記事改定回数:1回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

バルーンは出産を誘発するための医療機器で、子宮口を刺激して分娩を促すために使われます。
この記事で、バルーン出産の特徴や流れ、費用、使用時に考えられるリスクなどを詳しく見ていきます。出産を備えての参考にしてください。

出産を促す「バルーン誘発分娩」ってどんなもの?

バルーンは分娩を誘発させるための医療器具です。
正式名称は“メトロイリンテル”といい、小さなゴムボールのような形をしています。名前の通り風船のようにふくらませることで子宮を刺激し、子宮を柔らかくして子宮口を広げるために使われます。

出産でバルーンを使わなければいけないのはどんなとき?

出産でバルーンなどの補助器具を使った方がよいのは、以下のようなときです。

陣痛が来ない
陣痛が来ても子宮口の開きが遅い
陣痛が弱くなかなか分娩に進まない
・あらかじめ予定日を決めてお産を行う場合(計画分娩)

自然分娩を希望する方の中には器具を使った出産に不安や反発を覚えるかもしれませんが、器具を使うことでお母さんや赤ちゃんがより安全な状態で出産を迎えられることもあります。
医師から提案された場合は、母体と赤ちゃんの命を第一に考えて判断しましょう。

費用はどのくらい?保険適用されるの?

バルーン出産などの自然分娩を促すための医療行為は、基本的には健康保険は適応されず、全額自費となります。
出産費用は病院によって異なり、バルーンを用いた場合には通常の基本料金に加算されることとなりますが、その加算される金額も病院によって様々です。一般的には数万円の加算ですむことが多いですが、中には20万円以上の加算が必要な病院もありますので、事前にバルーンを使用することが分かっている場合には病院に費用を問い合わせておくとよいでしょう。

また、微弱な陣痛が長く続いて陣痛を促すためにバルーンを使用する場合には、出産に2日以上かかることもあり、このようなときには入院日数が長くなることがあります。このような場合には延長した分だけ入院費用も高くなります。

バルーン出産の流れは?

まずはバルーンを膨らませずに、腟から挿入して子宮の入り口に設置します。
その後は滅菌食塩水を少しずつ注入し、バルーンをふくらませていきます。

バルーンのふくらみで物理的に子宮の入り口が開くことに加え刺激により陣痛が促され、そのまま分娩につながることもあります。バルーンはその流れで4cm程度子宮の入り口が開いた際自然に外に排出されます。

陣痛促進剤は使う?

陣痛促進剤とは、子宮収縮を促す薬のことで、人工的に陣痛を引き起こすための薬です。飲み薬と点滴があり、妊婦さんの陣痛の起こり方によって使い分けられます。
バルーンは子宮口に物理的な刺激を加えて、子宮口が柔らかく開く効果が期待できます。

出産には十分な子宮口の開きと赤ちゃんを娩出するための力となる陣痛が必要です。バルーンによって子宮口が開くことで自然な陣痛が始まることが多いですが、中には子宮口が開いても十分な陣痛が起こらないこともあり、このようなときに陣痛促進剤が使用されます。
また、逆に微弱な陣痛が始まっているときには、陣痛促進剤を先に使用し、子宮口が十分に開いていない場合にバルーンを使用するとこもあります。
出産は人によって進行具合に大きな違いがありますので、それぞれの妊婦さんの状態を診て適切な処置が行われます。

バルーンの痛みはどのくらい?

バルーンを挿入するときに感じる痛みについては「違和感はあるけどそれほど痛くなかった」という声がある一方で、「力が入ったせいか、痛みが強かった・・・」という声もあり、個人差があることがわかっています。

無痛分娩で使うことも

バルーンは無痛分娩のときに使用されることもあります。
無痛分娩はあらかじめ出産日を決めておいて、その日に硬膜外に麻酔の管を入れて痛みを和らげながら分娩を誘発します。子宮口ががっちり閉じている妊婦さんは陣痛促進剤を使用しても子宮口がうまく広がらないことがあるため、出産日の前日にバルーンで子宮口を広げ、柔らかくする処置を行うこともあるのです。

バルーンを使うことで、赤ちゃんへのリスクはあるの?

出産を促すバルーンですが、危険性がゼロというわけではありません。
ここでは、バルーンを使った場合の赤ちゃんへのリスクについて説明します。
バルーンの使用によって起こりうる主なリスクは以下の3つです。

胎児の位置の変化

バルーンを入れたことで子宮が圧迫されるため、胎児が出産しづらい体勢になってしまう可能性があります。また、バルーンで頭が押し上げられることで赤ちゃんの頭と子宮壁に隙間ができ、その隙間にへその緒が挟まってしまう危険性があります。

細菌感染

バルーン挿入時に細菌に感染してしまう可能性もありますが、適切に管理されていれば細菌感染が起こる可能性は低いと考えてよいでしょう。
病院によってはバルーンを入れる前に抗菌薬を投与するなどの対策をしています。

おわりに:疑問に思うことがあれば、バルーン使用前に主治医に相談を

出産を促すためのバルーンですが、使用することのデメリットも存在します。
また、妊娠の経過が順調で自然分娩で大丈夫と思っていても、いざ出産となったときに何が起こるかはわかりません。突然バルーンの使用を提案されても慌てないよう、妊娠中に医師から詳細な説明を受け、疑問があれば質問や相談をし、できるだけ不安を解消しておくことが大切です。

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