記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
あがり症とは、人前で過度な緊張や不安を感じて、顔が赤くなる、体が震える、上手く話せなくなる、異常な量の汗をかくなどの症状があらわれることです。
この記事で、あがり症の詳しい症状・原因・治療法を見ていきましょう。
あがり症は人前で必要以上に周囲の視線や反応を意識してしまい、それによって焦りや不安を強く感じるような状態を指します。
「あがり症」は正式な病名ではなく、診断では社交不安障害(SAD=Social Anxiety Disorder)という呼び名を使うのが一般的です(※以前は「社会不安障害」と呼ばれていましたが、2008年により実態に近い「社交障害」という名称に変更されました)。
人前に出るときは多かれ少なかれ緊張するという人が多いでしょうが、あがり症の場合は必要以上に緊張してしまうことで以下のような症状がみられます。
人前で顔が赤くなります。
また、実際には平気でも顔が赤くなっているのではないかと気にしてしまいます。
他人の視線が必要以上に気になります。反対に、相手が自分の視線を不快に感じるのではないかと不安になることもあるようです。
人前で字を書くときに手が震えたり痛みが現れたりする症状です。
かかってきた電話に出られないなど、周囲の人に自分の会話を聞かれていると意識したとたんにうまく話せなくなります。
大勢でも1対1でも、人と食事をすることに強い不安や恐怖を感じる症状です。
「きちんと振舞えているだろうか」「相手に失礼なことをしないだろうか」などの心配から、強い苦痛、震え、発汗、動悸、呼吸困難などがあらわれます。
人前に出ると第一声が出るのに時間がかかる、会話の途中で言葉に詰まるなど、スムーズに話せなくなる症状です。
人前に出ると異常に汗をかいてしまう症状で、部分的に汗の量が増える局所多汗症と全身に汗をかく全身性多汗症の2つのタイプがあります。
あがり症の発症理由については様々な報告がありますが、ノルアドレナリンという神経伝達物質の分泌量が変化することが大きな原因ではないかと考えられています。
私たちの体は不安や恐怖を強く感じると血液中のノルアドレナリンを増やし、交感神経の働きを活発にして身体能力や集中力を高めようとします。そうすると心拍数、体温、血圧が急上昇し、動悸・発汗・震え・赤面などの症状や、消化機能の低下による腹痛や食欲不振が起きるのです。
上の項目で説明したように、あがり症には副交感神経の活性化が関係していると考えられるため、反対に副交感神経を優位にすることで症状を改善できる可能性があります。
そのために重要なのがセロトニンという神経伝達物質です。
セロトニンはノルアドレナリンの分泌を抑えて精神を安定させてくれるので、日頃から適度な運動、充分な睡眠、栄養バランスの良い食事を意識して分泌量を増やしましょう。
また、いくつかの抗うつ剤を使用した治療法も効果的とされています。
服用回数や使用する薬剤は症状の程度や患者の健康状態などを踏まえて処方します。
【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-074.html】
あがり症は性格の問題ではなく、治療することが可能な症状です。
悩んでいるようであれば、一度病院で相談することをおすすめします。