オウム病の感染経路は?人から人へうつることはあるの?

2017/10/18 記事改定日: 2019/4/8
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

オウム病と肺炎や風邪似た症状が出る病気で、主に鳥から感染します。
この記事では、オウム病の感染経路について詳しく解説していきます。感染を防ぐ対策のためにも、きちんと覚えておきましょう。

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オウム病とは

オウム病とは、インコやオウム、ハトなどからヒトに感染し、肺炎などの気道感染症を引き起こす病気です。公園などにいる野生の鳥はもちろん、ペットとして飼育している鳥も保菌鳥となる可能性があります。通常、鳥の繁殖期である4~6月にかけて発症するケースが多く、潜伏期間は1~2週間程度です。

潜伏期間を経て、急な発熱や悪寒、頭痛、倦怠感、食欲不振、筋肉痛、下痢などインフルエンザのような症状が見られます。強めの咳が特徴ですが、軽い場合は風邪程度の症状で済み、知らない間に治っていることもあります。また、いわゆる肺炎の症状も見られ、重症化すると呼吸困難、意識障害などを引き起こし、診断が遅れると死に至る場合もあります。

オウム病の感染経路は?

オウム病は、オウムやインコなどの鳥の糞などに含まれるクラミジアと呼ばれる細菌の一種を吸入することにより感染します。
具体的には、保菌鳥の排出する糞に含まれる病原体が時間経過とともに乾燥し、空中浮遊したものを吸い込むという経路が一般的です。また、羽毛、汚れたエサ容器や飼料、水に直接触れたり、噛まれたり、口移しでエサを与えることにより感染する場合もあります。

オウム病の病原体を保有している鳥の割合は、野生とペットと合わせて2割程度で、万が一感染していても鳥自身には症状が出ないことが多く、どの鳥が感染源となるかを見分けることは難しいとされています。環境の変化があった時や雛を育てている時などは過度のストレスがかかることから菌を含んだ糞を排出しやすくなるため、特に注意が必要です。

人から人へ感染することはある?

オウム病の原因となるクラミジアの一種は人から人への感染はないと考えられています。しかし、家族がオウム病に感染したということは、原因となるペットを飼っていたり、自宅周辺に野鳥が生息しているなど他の家族もオウム病に感染する機会がある環境であると言えます。
このため、家族がオウム病を発症した場合は感染予防対策と発症時の早期受診を徹底するようにしましょう。

オウム病を予防するためにできること

鳥を飼っている方はオウム病にかかる可能性が高くなるので、飼育時は鳥がクラミジアを自然に保有しているということを理解し、オウム病の症状について予め知り、予防策をとることが大切です。

まず、ケージ内の羽や糞をこまめに掃除し、綺麗に保つようにしましょう。また、鳥と接した後は手洗い、うがいをすることが大切です。健康な鳥でも菌を保有している場合があり、体調を崩すと糞や唾液中に菌を排出する可能性があります。鳥の健康管理には十分注意するようにしてください。

また、口移しでエサを与えるのは控えましょう。鳥をむやみに危険視することはありませんが、大切なペットと長く健康に暮らすためにも節度ある接し方を心掛けましょう。

オウム病の場合、どんな治療を行う?

オウム病の感染が疑われる場合は、まず呼吸器内科などの内科クリニックを受診します。血液検査や胸部レントゲン、胸部CT検査による画像検査による診断が行われますが、オウム病を確定するまで時間を要するため、発症前に鳥と接触した人に疑わしい症状が見られればオウム病と仮定して治療に入ります。したがって、問診の際は鳥を飼っている方はその旨を医師に伝えるようにしましょう。

治療では、テトラサイクリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質、ニューキノロン系抗生物質などを用います。軽症の場合は通院のみで治療が可能ですが、肺炎などの症状が重く見られる場合は入院が必要なケースもあります。2週間ほど抗生物質による治療を続ければ、徐々に回復していきます。

おわりに:鳥との接し方やケージの衛生環境などを見直そう

オウム病の原因菌は、鳥の約2割が保有していると考えられており、またどの鳥が保有しているのか判別するのは非常に難しいとされています。予防のために、鳥と接するときは節度ある接し方を心がけ、こまめにケージを掃除したりとキレイな環境を整えてあげてください。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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