記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/18 記事改定日: 2018/6/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腰部脊柱管狭窄症は脊柱管が狭くなり脊髄が圧迫されることで起きる障害のことで、歩いているときに足に痛みやしびれなどの症状があらわれます。
この記事で、発症の原因と治療法・予防法を見ていきましょう。
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、様々な理由で変形した骨や関節、椎間板、靭帯(じんたい)などによって脊柱管(せきちゅうかん)が狭くなり、脊髄が圧迫されることで起きる障害です。
代表的な症状は、間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれる足の痛みやしびれです。
間欠性跛行は歩いているときに生じる痛みやしびれであり、歩けなくなってしまうこともありますが、休息すると再び歩けるようになることが特徴になります。
間欠性跛行をはじめとする脊柱管狭窄症の症状は、かがむ、イスに腰掛ける、杖や押し車を使う、自転車に乗るなど、「前かがみ」の姿勢になると症状が軽くなることが多いといわれています。
ヒトの体の中心には脊椎(せきつい:背骨のこと)がありますが、腰の部分の背骨のことを腰椎といいます。
背骨のつなぎ目にはクッションのような役割を持つ椎間板(ついかんばん)がありますが、加齢や姿勢などの影響を受けて椎間板や腰椎、関節、黄色靭帯などが変形します。そうすると、脊柱管内の神経(脊髄)が圧迫されて、様々な症状があらわれるのです。
脊柱管狭窄症の最も多い原因は加齢による脊柱管構造の変化ですが、中には肥満や重労働を繰り返すことで腰に負担が続くことや、PC作業を長時間行うことなどによって脊椎の生理的な弯曲が失われることで脊柱管が狭くなることなどが原因となる場合があります。
このような生活習慣が大きく関わる原因では、高齢者だけでなく比較的若い人でも発症することがあるので注意が必要です。
脊柱管狭窄症は、脊髄などの重要な神経を圧迫し、放置すると歩行障害や直腸膀胱障害などの重大な神経症状を生じることも少なくありません。
このため、可能な限り早期に発見し、適切な対策を行うことが大切です。
腰部脊柱管狭窄症が疑われる徴候には次のようなものがあります。あてはまるものが多い人は、整形外科で相談することをおすすめします。
腰部脊柱管狭窄症の治療は症状の程度によって異なります。
以下で、代表的な治療法を見ていきましょう。
腰部脊柱管狭窄症患者の7割以上は、保存療法によって症状が改善するといわれています。
軽症の場合は炎症を抑えたり神経周囲の血管を広げて神経周辺の血流を改善するための薬剤の投与や、ブロック療法や変形した腰椎を矯正するための運動療法などがあります。
また、背骨を後ろに反らすと症状が悪化するケースが多いため、症状がひどいときはコルセットを装着して動きを制限させることもあります。
保存療法で改善がみられないときや痛みが強い場合には手術が必要になります。
複数の手術法がありますが、腰の後ろを切開して骨(椎弓)を削ることで神経の圧迫を取り除く「腰椎椎弓形成術(ようついついきゅうけいせいじゅつ)」や、肥厚した黄色靭帯を切除する手術などがあります。すべり症のように脊椎が不安定になっている場合は、固定術が選択されます。
これら単独で行われることもあれば、並行して行われることもあります。
腰部脊柱管狭窄症は背骨の変形による神経の圧迫が原因で生じるので、予防のためには姿勢を正しく保つことが大切です。
また、神経の圧迫の多くは前かがみになると軽くなります。
など、できるだけ背中を後ろに反らさないように気をつけましょう。
腰部脊柱管狭窄症を放置して症状が悪化すると、座っても横になっても足のしびれや痛みが治まりにくくなってしまいます。
そのような状態まで進行してしまうと、手術をしても完治することは困難です。
歩いているときにお尻から足にかけての痛みやしびれを感じたら、一度病院で診察を受けるようにしましょう。