記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/10/18 記事改定日: 2019/6/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
ぶどう膜炎は目の中に炎症を起こす病気ですが、適切に処置をしないと失明に至るリスクがあります。
この記事では、ぶどう膜炎の原因について解説していきます。
ぶどう膜とは、眼球の裏側にある脈絡膜、毛様体、虹彩の3つの総称です。脈絡膜とは白目の内側にある膜のことで、中には血管がたくさんあり、その中をながれる血液が網膜に栄養や酸素などを送り続けています。
ぶどう膜炎はそのぶどう膜に炎症が起こることで起こる病気で、網膜や強膜への炎症もぶどう膜炎に該当します。
炎症は、細菌の侵入を防ぐ働きによって起きるもので、多くの血管が流れているぶどう膜はその分炎症が起こりやすいと言えます。
ぶどう膜炎が起こる原因ははっきりとわかっておらず、診断がつくものは半数くらいです。原因は様々で、外因性のものと内因性のものがあります。外因性のものでは、細菌やウイルス、寄生虫などの感染症によるものがあります。
ぶどう膜炎は次のような病気の症状の一つとして現れることがあります。ぶどう膜炎を引き起こす主な病気には次のようなものが挙げられます。
ぶどう膜炎の約10%はサルコイドーシスによるものとされています。サルコイドーシスは肺や目、皮膚、リンパ節、心臓など全身の様々な臓器に肉芽腫と呼ばれる「できもの」を形成する病気です。発症原因は分かっていませんが、何らかの免疫異常によるものと考えられており、20~30代の若年者や高齢者に多く見られます。
眼症状としてはぶどう膜炎の他にも網膜静脈炎を引き起こして目の充血やかすみ、飛蚊症などの症状を引き起こすことがあります。
両目の網膜剥離が急激に生じ、視力障害が引き起こされる病気です。明確な発症メカニズムは解明されていませんが、自己免疫疾患の一種と考えられており、髄膜炎や皮膚症状、脱毛、難聴など全身に様々な症状を引き起こします。
自己免疫疾患の一種であり、難治性の口内炎を繰り返し、痛みを伴うニキビのような皮疹や外陰部の潰瘍、虹彩毛様体炎や網膜炎などの眼症状などを引き起こす病気です。眼症状としては、目の痛みや充血、光への過敏性が上昇し、進行すると視力障害を引き起こして失明に至ることも少なくありません。
ぶどう膜炎の主な症状は、硝子体の濁りによって目の前にゴミのようなものが見える飛蚊症や充血、痛みです。片目だけであったり、両目、あるいは交互に起こることがあり、一時的によくなってまた悪くなるといった再発と寛解を繰り返す特徴があります。
ぶどう膜炎によって眼球内部の細胞が濁って霧がかかったように見えたり、炎症が重症化することで網膜剥離が起こったりすると、白内障や緑内障を発症して視力の低下が起こり、適切な治療をしなければ失明の恐れがあります。
このようにぶどう膜炎は、白内障や緑内障、網膜剥離などの合併症を引き起こすこともあり、手術による治療が必要な場合もあります。特に緑内障は、虹彩が水晶体に癒着して起こる合併症なので、重症化を防ぐ為にも薬を用いての治療が必要です。
ぶどう膜炎は炎症が重症化すると、緑内障や網膜剥離などの合併症を引き起こし、視力低下や失明につながる恐れがある病気です。目の痛みや充血、飛蚊症といった疑わしい症状がみられたら、すぐに病院で治療を始めましょう。