記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/10/31
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
年を経るごとに徐々に進行していく「老眼」ですが、具体的にどんな症状が現れるのかご存知ですか?今回の記事では、老眼の症状や原因、対処法など基礎知識をお届けしていきます。
老眼とは、歳をとることによって、だんだんと見えにくくなる症状のことを言います。具体的には、近くの細かい文字が見えにくくなり、新聞や本などが読みにくくなったりします。近くのものを見た後に遠くのものに目を向けると、最初はピントが合わないのですが、時間がたつと見えるようになるというのも老眼の特徴です。
年齢とともに、ピントが合う距離というのは長くなっていきます。30歳では14cmで合うピントが、40歳では20cm、45歳では40cm、50歳では67cm、60歳では200cmとどんどん長くなっていきます。老眼は誰にでも起こる症状ですが、始まるのは個人差があり、40~45歳くらいで自覚する人が多くなります。
老眼と遠視は同じプラス度数(光の屈折力を強めるためのレンズ)のメガネを使用しますが、いずれも異なるものです。
目というのは水晶体を通って網膜に画像を映し出します。遠視は網膜の後ろでピントが合うようになっている状態のことですが、一方の老眼は、老化のために水晶体の弾力が弱まっていてピントが合わなくなっている状態です。
また、老眼は近い所を見る時だけに起こる調節異常で、遠視は光の屈折異常によるものです。そのため、遠視の場合は遠くを見るときも近くを見るときもピントの調節が必要になるので、とても目が疲れます。
老眼になる主な原因は、加齢です。老化によって目の水晶体の弾力が弱まり、ピントが合いにくくなることによって老眼は引き起こされます。また、毛様体筋と呼ばれる目の筋肉の機能低下も老眼の一因です。毛様体筋は、水晶体を支えて伸縮することで厚みを調節していますが、加齢により筋肉が衰えると、近くを見るのが難しくなるのです。
目の疲れも老眼につながるものです。最近はスマートフォンやパソコンなど、目を酷使する日常生活が続いていますが、見えにくいのに無理やりピントを合わせる状態が継続するとさらに目の疲れが溜まり、老眼になってしまうことがあるのです。メガネやコンタクトをしているのに近くが見えにくくいと感じたら、老眼のサインなので気をつけましょう。
老眼かもしれないと感じたら、日常的に目の負担を減らすようにしましょう。まず、ルテイン、ビタミンAといった老眼に効果を発揮する栄養素を積極的にとりましょう。また、血行の悪さも老眼の症状を悪化させる原因なので、肩や首のストレッチを意識的に行うことも大切です。
また、目を5秒ほどかけてゆっくりと回していく目のエクササイズもおすすめです。右回りをやった後に左回りをすると、ピントの調節力が高まると言われています。特別な道具も必要なく、自宅でできるので意識して行いましょう。そのほか、眼科に行って検診を受けるのも大切です。
老眼の一番の原因は加齢によるものですが、近年ではパソコンやスマートフォンの長時間使用に伴い、目の疲れによる老眼も問題となりつつあります。老眼かもと思ったら、こまめに目のエクササイズをしたり、目にいい栄養素をとったりといった日常的なケアを行いましょう。