記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
耳の疾患である難聴にはいくつかの種類がありますが、その中でも「感音性難聴」に悩まれている患者さんは非常に多いとされています。以降ではその感音性難聴について、特徴や原因、対処法をご紹介していきます。
感音性難聴とは、聴神経や内耳の感音器の損傷によって聴力に障害が発生する疾患です。内耳には聴力をコントロールする蝸牛が存在しますが、この蝸牛によって音が電気信号に変化し、聴神経から大脳聴覚部に音として伝わる仕組みになっています。そして感音性難聴とは、この音を感じる内耳と聴神経の部位で障害が起こり、聴力に問題が生じる状態をいいます。
感音性難聴の症状としては、聞こえる音の範囲が狭まってしまうことが挙げられます。聞こえない範囲が徐々に広がりを見せるのが特徴です。また音がぼやけてしまうのもよくある症状のひとつです。はっきりとしたメリハリのある音の聞こえではなく、ぼやっとした感じの音の聞こえになります。
その他にも音域や周波数によって聞き取りづらかったり、聞き分けが出来なくなったりという状態になる場合もあります。
このように聴力に不具合が生じる感音性難聴は、内耳の感音器に障害が起こり発症するわけですが、その発症原因のひとつが病気です。感音性難聴を引き起こす病気としては、突然聞こえなくなる突発性難聴や、激しいめまいを伴うメニエール病が挙げられます。
また、加齢も原因のひとつです。老化によって内耳の蝸牛の有毛細胞が減少し、組織が硬くなるなどの内耳組織の変化で問題が生じることが分かっています。
そして大きな音や長期間の騒音、ついやってしまいがちな長時間のヘッドホンやイヤホンでの音楽のかけ流しも感音性難聴の原因となります。
聴力は一般的に30代から衰えるとされており、はじめは高温の音域が聞き取りづらくなることから始まります。そして60代頃になると明らかに老化によって感音器に障害が起こり、感音性難聴と診断されることが多くなります。ただ最近では若い人も常にヘッドホンやイヤホンを身につけているため、早い段階で聴力に障害が起き、難聴を発症するケースも増加しています。もはや年齢に関係なく起こり得る疾患であると言えるでしょう。
実際に感音性難聴を発症した場合、現段階の医療的な見解では完全に聴力を回復させることは難しいとされています。ただ、感音器の損傷をこれ以上進行させないために、原因が突発性難聴やメニエール病などの疾患の場合は、その原因疾患の治療を行うべきですし、騒音が原因の場合はその環境要因を取り除き、耳を休ませる時間を作ったりすることが大切になります。
なお、完全に回復は見込めませんが、対処法としては補聴器の装着が有効です。補聴器を装着することで、聞こえなくなってしまった小さな音を大きくしたり、聞き分けが出来るようになったりと、聞こえる範囲が広がる可能性があります。完璧を求めるのは難しいですが、今現在聞き取れる状態を広げる意味で補聴器の存在は大きな助けとなるでしょう。
病気や加齢、騒音など、感音性難聴の発症原因にはさまざまなものが考えられます。発症してしまった場合、失われた聴力を取り戻すことは難しいですが、症状の進行を食い止めるためには、発症原因に沿った適切な治療を行っていくことが大切です。