記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/11/17 記事改定日: 2018/3/6
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
一般的には子供がかかることの多い「手足口病」ですが、大人になってからも感染・発症することがあります。もしも妊婦さんが感染してしまった場合、赤ちゃんに影響があるのかどうか、また、どのように対処すれば良いのかをこの記事でお伝えします。
手足口病は一般的に夏季に流行する病気で、7月ごろにピークを迎えるウイルス性の感染症です。
患者のほとんどは子どもで、そのうち5歳未満の子どもの罹患率が9割近くですが、まれに大人も感染する可能性があります。
手足口病の発症原因となるウイルスは、コクサッキーウイルスA6・A16、エンテロウイルス71(EV71)と呼ばれるウイルスです。これらのウイルスは飛沫感染、経口感染、接触感染で拡大するため、夏場に幼稚園や保育園などでプールが始まると、一気に流行するといわれています。
また、ウイルスが複数存在しているため、手足口病を何度も発症する可能性もあります。
主に子供がかかる手足口病ですが、大人が感染した場合も子供と同様に下記のような症状が現われます。
・口の中や手のひら、足の裏などに小さな水ぶくれのような発疹が出る(感染後3~5日ほど)
・発熱
加えて、大人が手足口病に感染した場合には高熱が出る、発疹に強いかゆみを伴う、次第に痛みが発生するなど重症化するケースが少なくありません。また、手足口病の症状が治まって1か月ほどすると、爪がはがれるという症例も見られます。
通常発疹は1週間ほどでかさぶたになることなく消えていきますが、その過程で水ぶくれがつぶれて中の汁が出てくると、二次感染を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
妊婦さんをはじめ大人が手足口病に感染する経路として多いのが、子どもが保育園や幼稚園から持ち帰ったウイルスからの接触感染です。
たとえば妊娠中の胎児の上に子どもがいる妊婦さんの場合、手足口病に感染した子どものオムツ交換後の手洗いが十分ではなかったやめに手指にウイルスが残ったまま食品を触ってしまい糞口感染したという感染経路が考えられます。
症状が現れていない潜伏期間にも手足口病の原因となるウイルスは存在しているので、子どものオムツを交換した際には必ず手洗いをするようにしましょう。
妊娠中に手足口病になってしまった場合に、気になるのはお腹の赤ちゃんへの影響ですよね。
妊娠中は免疫力が低下しているため、妊婦さんは手足口病に感染しやすい状態にあります。ですが、手足口病が直接お腹の赤ちゃんに悪い影響を与えることはほとんどありません。
しかし、まれに手足口病が流産や早産につながったり、胎児水腫を引き起こしたり、赤ちゃんに重篤な疾患を引き起こしたりすることがあるともいわれています。
手足口病の特効薬や特別な治療法はなく、発症しても基本的には対症療法をしながら安静にし、自然治癒を待つのが一般的です。
ただ、妊娠中は様々なトラブルを引き起こしやすいです。また、エンテロウイルスによって手足口病が引き起こされている場合は他のウイルスで手足口病にかかった場合と比べて中枢神経系の合併症を引き起こす割合が高いと考えられているので、できるだけ早めに産婦人科に相談しましょう。
ただし、手足口病がほかの妊婦さんや赤ちゃんに広まってしまう可能性があるので、病院を受診する際には事前に電話で確認を取るようにしましょう。
病院で行われる一般的な対処法は以下の通りです。
・口の中や手足にできた発疹などのかゆみを抑える薬の処方
・高熱が出た際の解熱剤の処方
・栄養や水分補給のための点滴など
症状は発症から1週間ほどで治まることが多いですが、しばらくの間はウイルスが残っている可能性があるため再発や感染の拡大に注意する必要があります。
手足口病がお腹の赤ちゃんに影響を与えることはほとんどないので、心配しすぎる必要はありません。
しかし、まれに流産などを引き起こすケースもあるので、発症前に予防を徹底することが望ましいです。
特に上のお子さんが手足口病を発症している場合や、保育園などの子どもが多い場所に行った後には必ず石けんで念入りに手を洗うようにましょう。
もしも、手足口病を発症してしまった場合は事前に産婦人科に確認した後に受診してください。