スモン病は何が原因でなってしまう病気なの?

2017/11/6 記事改定日: 2019/4/3
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

スモン病とは、亜急性脊髄視神経症とも呼ばれる病気であり、しびれや麻痺、ひどくなると失明などの症状が現れることもあります。この病気の原因と治療、予防方法はわかっているのでしょうか?この記事ではスモン病の基礎知識について解説しています。

スモン病の原因とは?

スモン病は、亜急性脊髄視神経症とも呼ばれ、キノホルム剤を過量に服用したことが原因となって引き起こされる重度の神経変性障害です。

キノホルム剤は戦前には用途が外用消毒とアメーバ赤痢治療に限られていたため生産量も少なかったとされます。しかし、戦後の日本では整腸剤として使用されており通常の下痢などの消化器症状まで適応が拡大されてきました。それに伴って1日においての投与量や投与期間についても制限がゆるめられ、キノホルム剤の国内生産量や輸入量は年々増加していき、それに伴ってスモン病の患者数も増えていくようになったというという経緯があるのです。

1970年代になって、スモン病の発症にキノホルム剤が関係していることが指摘されると販売中止になり、その結果、スモン病患者の数も激減して今日に至っています。

海外での薬には注意!

キノホルム剤がスモン病の発症に関与していることが指摘されたことから、日本では1970年に内服薬としての販売、使用が禁じられています。
しかし、海外では未だにキノホルム剤を整腸剤などとして使用している国もあります。海外旅行で突然お腹の調子が悪くなった時などは、安易に市販薬を購入せず、日本人でも受診できる病院を利用するようにしましょう。

また、近年では海外製の安い薬が通販で手軽に購入できるようになりました。個人での輸入は自己責任となりますが、整腸剤と謳われたキノホルム剤が含まれている可能性もありますので、安易な利用には注意しましょう。

どんな症状が現われるの?

初期段階は腹痛や下痢などが現れます。それから、さらに長期間キノホルム剤を服用を続けると、両足に自覚的なしびれを訴えるようになり、さらに進行すると下肢の脱力・起立や歩行の不安定が起こるなどの症状が見られるようになります。

こうした異常なしびれや麻痺などについては足裏から次第に上に向って広がっていくことが特徴であり、歩行障害fだけでなく視力障害を引き起こして失明に至るケースもあります。

また、合併症として内臓障害や膀胱直腸障害、性機能障害などを引き起こします。体への影響は全身に及び、やがて日常生活に必要な機能が著しく低下してしまうのです。

その他、意識障害やけいれん、舌が緑色になることなどの症状も現れます。高齢者の場合は、加齢に伴って免疫力が低下するため、骨粗鬆症や大腸癌の高率発症などの様々な合併症を引き起こし、最悪のケースでは死に至ることもあります。低確率ですが認知症の発症との関連も指摘されていて、研究対象にもなっています。

スモン病は治療できるの?

スモン病は現在根本的な治療法がありません。
対症療法として、ビタミンB12やB1の大量投与や副腎皮質ステロイドなどの投与が行われます。ただ、これらの治療法の有効性も疑問視されています。ほかには、リハビリテーション療法も行われることも多いですが、こちらも効果はきわめて不十分なものと考える専門家も多いようです。

この病気にかからないようにするには、怪しい医薬品に絶対に手を出さないことが大切です。製造中止になっていますので、通常の方法ではキノホルム剤を入手することは難しくなっていますが、個人輸入した薬剤に紛れる可能性はゼロではありません。薬の個人輸入はおすすめしませんが、もし輸入することになった場合は、細心の注意を払うようにしてください。

おわりに:キノホルム剤は日本で使われていないので、新たにスモン病になる心配はない。しかし、海外での薬の服用や個人輸入の際は注意が必要

スモン病は手や足のしびれなどが起こり、症状が進行すると歩行障害や失明などの恐れもある恐ろしい病気です。有効な治療法もないため完治は難しいですが、原因となる薬剤「キノホルム剤」は日本で使用されていないため新たに発症する心配はないでしょう。

ただし、海外で薬を服用するときや薬を個人輸入するときには、十分に注意するようにしましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

性機能障害(4) 麻痺(27) しびれ(53) スモン病(2) キノホルム剤(2) 膀胱直腸障害(1) 薬剤(2)