記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
子供にとっての初めての高熱は、突発性発疹によるものの場合が多いとされています。子供の高熱が続くと親としては心配になりますが、一方で看病する大人が感染する可能性はあるのでしょうか。突発性発疹の原因や症状などとあわせてみていきます。
突発性発疹とは、乳幼児の体内にヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)あるいはヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7)が入って感染することにより、突然の高熱と解熱前後に発疹が出るウイルス感染症のひとつです。
突発性発疹を発症すると、突然38度以上の熱が3〜5日間程度続き、解熱に前後して、小さく鮮やかな赤色の湿疹や少し膨らんだ赤色の発疹が、お腹や背中を中心に腕や首などにひろがり数日間出現します。顔や手などにはあまり出ず、かゆみや痛みはほとんどありません。発疹以外の症状としては、下痢や大泉門の膨らみ、乳幼児の場合は不機嫌などが挙げられます。
また、突発性発疹の発症する年齢層と熱性けいれんが起こりやすい年齢層が重なるため、突発性発疹による高熱が熱性けいれんを引き起こす要因になることがあります。ほかに併発する可能性のある重篤な合併症は、脳症や肝炎、特発性血小板減少性紫斑病などです。
突発性発疹の原因は、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)あるいはヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)、もしくはエンテロウイルスの感染と考えられています。家庭内での感染が主であり、感染力は強くないウイルスなので保育園などで流行することはありません。唾液や食器の共有、キスなどによる経口感染や、くしゃみなどの飛沫感染が主な感染経路とされています。
突発性発疹の場合、高熱以外の症状が見られないことがほとんどのため、最終的な診断は発疹が出てからになることが多いです。なお、治療は対症療法が一般的です。自宅での対応をする場合は、通常の発熱時と同様に脱水などの全身症状に気をつけてください。
突発性発疹の報告された症例では、0歳と1歳までの発症が99%を占めており、2〜3歳頃までにほとんどの小児に抗体が陽性になるということが確認されています。また、感染していても症状のでないケースも20〜40%あるとの報告結果もあります。なお、生後6ヶ月頃までの乳児は、母親の抗体免疫を引き継いでいるので突発性発疹などの感染症を発症するケースはかなり稀です。母親の抗体免疫がなくなる生後半年以降から1歳にかけて、発症のピークを迎えます。
3歳以上の小児には突発性発疹の抗体ができているということから、大人が感染するということは基本的にはありません。非常に稀ですが、免疫力が極端に弱っている場合には感染する可能性はあります。
多くの子供が乳幼児のうちに経験する突発性発疹。基本的に大人は抗体を持っているため、子供からうつることは稀ですが、免疫力が落ちているときには注意が必要です。逆に、唾液などを通じて子供にうつすことがないよう注意しましょう。