記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は寝ている間に無呼吸になるため、なかなか気付くことができません。検査や治療を受けていない潜在的な患者は、多いともいわれています。日常生活にリスクを生じさせるこの病気について、ご紹介します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている最中に無呼吸を繰り返し、循環器系の病気などさまざまな合併症を引き起こす病気です。呼吸が止まるため、日中に強い眠気を感じたり、高血圧になったりします。睡眠時無呼吸症候群の人は、目が覚めると呼吸が再開しますが、眠りにつくと再び呼吸が止まってしまうのを繰り返すのが特徴です。
原因として、空気の通り道となっている上気道が狭くなっていることが挙げられますが、周囲の脂肪が多いと狭くなりやすいため、肥満が深く関係していることがわかっています。そのほか、舌が大きかったり、扁桃肥大や鼻炎・鼻中隔弯曲症などが影響したり、あごの後退や小ささも関わっているといわれています。
睡眠時無呼吸症候群の症状の特徴として、以下のようなものがあります。
まず、日中の強い眠気があります。睡眠不足からストレスがたまって血糖値やコレステロール値が上昇し、生活習慣病やメタボリックシンドロームへつながることもあります。
また、夜間に長時間酸欠状態になるため、血中の酸素濃度が低下します。これにより心臓の働きを強めるため、高血圧の症状もみられます。高血圧によって動脈硬化が進むと、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくもなります。
そのほか、いびきや夜間の頻尿、起床時の頭痛などもあります。
睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいタイプとして、ひとつは肥満の人が挙げられます。脂肪がのどの内側につくことで気道部分が圧迫され、無呼吸を引き起こします。
ほかに、口蓋垂(こうがいすい:いわゆるのどちんこ)が大きい人、歯並びが悪い人、鼻筋が曲がっている人などもかかりやすいタイプです。また、喫煙者も高リスクです。これは、タバコを吸うことによって気道の周辺に炎症が出て、気道を狭めてしまうことと関連しています。
いびきがひどかったり、寝ている最中に呼吸が停止していたりする場合は、できるだけ早く専門の医療機関で検査することが大切です。睡眠時無呼吸症候群を放置すると、心筋梗塞や脳梗塞などさまざまな症状を引き起こす恐れがあるためです。
睡眠時無呼吸症候群は、携帯型の装置で簡易検査をしたり、睡眠ポリグラフ検査(PSG)で睡眠中の呼吸状態を判断したりすることで、程度がおおよそわかります。睡眠ポリグラフ検査で、1時間あたりの無呼吸低呼吸指数(AHI)が5~15であれば軽症、15~30は中等症、30以上は重症と診断されます。
なお、治療方法も、狭くなった気道を広げる経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)や、マウスピースを使用する治療方法などさまざまです。肥満の人は、減量すると症状が軽くなることが多いため、食生活を見直したり、運動したりしましょう。アルコールを多くとる人は、睡眠の質を悪化させるもととなるため、晩酌を控えるようにしてください。
成人の睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクを3~4倍ほど高くします。しかし、適切に治療すれば健康な人と同じ程度まで改善させることができます。症状として気になるものがあれば、早めに検査をしましょう。