記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
赤ちゃんが鼻水を出したとき、風邪や病気を疑う人は少なくありません。ミルクも飲めないほど苦しそうな様子を見ると、不安になることもあるでしょう。ここでは、赤ちゃんの止まらない鼻水について、考えられる原因や対処法を解説します。
鼻水の原因で多いと言われているのが風邪です。風邪による鼻水の場合、最初は水っぽい鼻水から始まりますが、途中から体内で死滅した細菌やウイルスの死骸を含んだことで、黄色く粘っぽい鼻水に変わります。さらに細菌の二次感染を起こし、副鼻腔炎に発展すると粘性が高い鼻水に変わることがあります。水様性の鼻水がずっと続く場合は、鼻アレルギーの疑いも考えられます。
ただ、鼻水には体内に入ったウイルスや異物の排出と加湿の役割もあるため、気温が低くなったり、汚い空気が鼻に入ったり、ほこりを吸引したりしたことでも鼻水が出ることがあります。
赤ちゃんは大人と違って鼻の穴が小さく粘膜が敏感なため、すぐに腫れて鼻づまりを起こしますが、赤ちゃんの耳管は大人に比べて太くて短いため、菌が耳に入りやすく、鼻水や鼻詰まりから中耳炎を起こしやすい傾向にあります。
また、鼻水が詰まると機嫌が悪くなり、寝苦しくなっていびきをかいたり口呼吸になったりします。また、お乳も飲みにくくなり、哺乳量が減ることも少なくありません。鼻水を吸引してあげれば一時的に楽になりますが、しばらくするとまた鼻水が詰まってしまうため、機嫌が悪い状態が続くこともあるでしょう。
おうちでできる対策は、鼻水を吸うことと室内を加湿することです。加湿をすれば鼻水がやわらかくなって切れやすくなり、自宅での吸引もしやすくなります。
赤ちゃんが鼻水を出した時は哺乳量が減る傾向にありますが、少しずつでも飲むことができれば大丈夫でしょう。途中に休憩をはさみながら、少量ずつ飲ませてあげてください。
鼻水が多い時は大人が口で直接吸い取ってあげる方法もありますが、風邪などの病気がうつる可能性もあるので、市販の乳児用吸引器の使用や、小児科や耳鼻科で吸引してもらうのが有効です。
また、暖かくなると血流がよくなり、鼻粘膜の腫れが軽くなるので、室内が乾燥しないように50~70%の湿度を保つことも大切です。
鼻詰まりが続いて悪化しつつある場合や、鼻水の粘りが強くて家庭で吸引できない場合は、病院で診てもらうようにしてください。また、赤ちゃんがほとんど哺乳できない場合や、呼吸が苦しそうだったりゼーゼーと息が荒くなったりしている場合は、気管支炎などの病気につながることがあります。早めに医師に診てもらい、適切な処置を受けましょう。
赤ちゃんの鼻水は、家庭でできる対処によって自然とよくなっていく場合もあります。しかし、風邪から始まった鼻水によって副鼻腔炎や気管支炎を引き起こすこともあります。家庭では吸引できない場合や、発熱を伴ったり哺乳量が大幅に落ちたりした場合は、病院で診察を受けましょう。