門脈圧亢進症の症状と発症の原因とは?!命に関わることもある?

2017/11/20 記事改定日: 2018/8/7
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)は肝臓に血液を送る門脈が何らかの原因で閉塞したり狭窄することで発症します。胃や食道の静脈瘤発症の原因になり、静脈瘤は破裂すると命に関わることがあるため、早期に対処する必要があるのです。この記事では、門脈圧亢進症の基礎知識について解説します。

門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)とは

門脈は肝臓に流入する3本の血管の一つで、肝臓に流れ込む血液の3分の2を運ぶ重要な血管です。

門脈圧亢進症は、この門脈の血流路のどこかに狭窄や閉塞が起ることで、門脈圧が上昇する「亢進」という状態を引き起こし、その影響によって食道や胃に静脈瘤が生じたり、腹水や胸水の貯留、脾腫や、貧血なども起こりることです。それらの疾患も併せて門脈圧亢進症の症状とされています。

症状の中でも特に憂慮されるのが、食道や胃などの静脈瘤で、万が一静脈瘤が破れるなどした場合、大量の出血で吐血や下血などを起こし、命に関わる危険があります。

門脈圧亢進症を発症する原因は

門脈圧亢進症には特発性と続発性があり、続発性は肝硬変や先天性の門脈形成不全症、肝臓がんなどが発症原因として挙げられます。特発性門脈圧亢進症は、厚生労働省指定の特定疾患、いわゆる難病の一つで、正確な原因は不明とされていますが、肝内末梢門脈血栓や、自己免疫異常、脾原説などが取り沙汰されています。

特発性門脈圧亢進症は、都市部よりも農村地帯で発症する人がやや多い傾向がみられるという調査結果があり、日本では主に中年期以降の女性に多く、発症のピークは40歳から50歳台とされています。中年女性に多発することに関しては、自己免疫疾患と類似した特徴が見られることと、自己免疫病を合併する頻度も高いということからも、自己免疫異常が要因の一つとも考えられています。

門脈圧亢進症の症状

門脈圧亢進症を発症すると、門脈圧が高くなることで脾機能亢進症状を起こすようになります。脾臓が大きく腫れ。血液中の赤血球や白血球、血小板などが脾臓で壊されてしまうため、貧血や血小板減少が起こって、出血しやすくなってしまいます。

食道や胃の静脈瘤は、門脈血が正常な経路とは別の側副血行路を形成することで、心臓のほうへ血液が戻るようになってしまうことが発症の原因とされています。上記でも触れましたが、これが破れてしまうと大出血となり、生命の危険に及ぶことがあります。

その他の危険な症状としては、肝臓で代謝されるはずのアンモニアなどの神経毒性物質が血中に増加し、その中毒性物質が脳内へ移行し、意識障害などを起こす肝性脳症があります。

メデューサの頭

門脈圧亢進症によって、「メデューサの頭」と呼ばれる複雑な血管の膨らみが腹部にできることがあります。メデューサとは、髪の毛がヘビである怪物のことであり、腹部全体に蛇行した血管の膨らみができることから、あたかもメデューサの髪の毛のように見えることからこのように名づけられました。

門脈圧が亢進することで、生後速やかに閉鎖していた臍帯静脈(胎児期に母体から栄養や酸素を送られる重要な血管)に多量の血液が流れ込んで再開通します。さらにそこから腹壁皮下にある多くの静脈に血液が流れ込むようになって蛇行した血管の膨らみが体表からでも見えるようになるのです。このため、臍を中心として放射状に広がるように血管の膨らみが見られるのが特徴です。

門脈圧亢進症の治療法

門脈圧亢進症の治療法としては、直接の原因が特定されていない特発性門脈圧亢進症には根治的治療法はないため、門脈圧亢進症に伴う食道胃静脈瘤出血や異所性静脈瘤、脾機能亢進に伴う汎血球滅少症などへの対症療法を行います。

食道静脈瘤に対しては、食道内視鏡検査によって出血の危険が予想されるケースには予防的な手術が行われることがあります。
突発性門脈圧亢進症の場合は、肝機能検査ではほとんど正常か、異常があっても軽度であることが多いといわれますが、血液検査で高度の貧血や血小板の減少があって、出血傾向が強いときには、脾臓を摘出する手術が行われることもあります。根治療法は確立されていないとはいえ、特発性門脈圧亢進症患者の予後は、比較的良好といわれています。

おわりに:門脈圧亢進症は命を落とすリスクもある危険な病気

門脈圧亢進症は胃や食道の静脈瘤などの危険な症状を引き起こす病気です。命を落とすこともあるため、早めの対処が大切になってきます。原因にあわせてた適切な治療を受けるためにも、健診などで定期的に健康状態をチェックするようにしましょう。

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