甲状腺がんとは ~ 悪性度の低いものと、そうでないものがある ~

2017/11/22

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

女性の発症率の高いがんとして知られる「甲状腺がん」ですが、甲状腺がんには複数のタイプがあり、悪性度の高いものや低いものがあるのです。以降で詳しく解説していきます。

甲状腺がんとは

甲状腺はのどぼとけの下方にあり、蝶が羽を広げたような形をしている、重さ10~20gほどの比較的小さい臓器です。心拍数や体温調節など代謝機能にかかわるホルモンを分泌したり、血液中のカルシウム量もコントロールしています。

甲状腺がんはその甲状腺に発生するタイプのがんで、女性のほうが男性の5倍近く多く罹患すると言われています。タイプによっていくつかの種類に分けられていますが、その中では乳頭がんを発症するケースが最も多く、甲状腺がんの約80%を占めています。

甲状腺がんは甲状腺の腫れなど発症のサインがわかりにくいことが多く、ほかの甲状腺疾患の検査などで見つかるケースや、食べ物が飲み込みにくいなどの違和感などから判明することがあります。

甲状腺がんのタイプ

甲状腺がんには複数のタイプがありますが、比較的悪性度の低いものとしては、先述の乳頭がんと濾胞(ろほう)がんがあります。これらは分化型のがんと言われ、がん化した細胞が成熟していることから、がん細胞が増加するスピードが遅く、比較的予後が良いと言われています。

一方、悪性度が高いとされるものとしては、髄様(ずいよう)がん、未分化がんなどがあり、その中で最も悪性度が高いものが、未分化がんとなります。未分化がんは分化型の甲状腺がんと違って、がん細胞が未成熟なことから増加するスピードが速いため、病気の進行も早くなります。未分化がんタイプの甲状腺がんは、高齢者に発症することが多いと言われています。

甲状腺がんの症状

甲状腺がんの中で最も多い乳頭がんでは、比較的若い世代も発症し、甲状腺に固めのしこりが見られますが、特に自覚症状はなく、ゆっくりと進行するタイプのがんです。リンパ節への転移が多いとも言われますが、手術を行えば予後が良いとされます。濾胞がんも自覚症状はあまりないのが一般的ですが、乳頭がんと違い甲状腺のしこりが柔らかめであることが特徴とされます。

髄様がんについては、自覚症状は少ないもののしこりは固く、リンパ節や骨、肝臓に転移しやすいという性質があります。また、未分化がんの場合は甲状腺のしこりが固く、自覚症状として痛みや声のかすれが起こります。悪性リンパ腫も、首の腫れや声のかすれが自覚症状として出るとされています。

甲状腺がんの治療法

 

甲状腺がんの中では進行スピードが遅く、予後も良いとされる乳頭がんですが、リンパ節への転移が多いことから、甲状腺と甲状腺の周囲のリンパ節を切除する手術をするのが一般的です。濾胞がんの場合も、骨や肺へ転移しやすいことから、それらの臓器への転移がない場合は乳頭がん同様、甲状腺と周りのリンパ節を取り除く手術が行われます。

髄様がんの場合は、乳頭がんや濾胞がんよりも進行が早く、リンパ節や骨、肝臓に転移しやすいことから、転移前であれば甲状腺と周辺のリンパ節を切除する手術が行われます。未分化がんの場合は進行が速く、肺や骨などに転移しやすいことから、手術や放射線治療、薬物療法が行われますが、予後はあまりよくないとされています。悪性リンパ腫の治療法の選択肢は、未分化がんと同様です。

おわりに:特徴や治療法も、甲状腺がんのタイプによって異なる

ご紹介してきたように、甲状腺がんの悪性度や特徴、治療法は、甲状腺がんのタイプによってさまざまです。専門医の指示のもと、タイプに合った適切な治療を選択しましょう。

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