脱肛ってどんな病気? ~ お尻がやけにムズムズすると思ったら ~

2017/11/20

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

脱肛とは、肛門の粘膜や内痔核が外側に出てくることです。軽いものは自然にもとにもどりますが、悪化すると戻らなくなり痛みや出血などが現れるようになります。この記事では、脱肛の症状や原因、予防法などの基礎知識を紹介しています。お尻の悩みを抱えている人は参考にしてください。

脱肛ってどんな病気?

「脱肛」とは、本来は肛門の内側にあるはずの粘膜が外側に出てしまうことです。粘膜だけでなく、肛門内部にある「内痔核」が悪化し、外に出てきてしまう場合も脱肛といいます。同じ脱肛といえど、粘膜が外に出る状態を「肛門粘膜脱」、内痔核が外に出る状態を「痔核脱出」と呼び分けることもあります。男性が発症することが多い病気ではあるものの、妊娠・出産を経験した女性が発症することも珍しくありません。

粘膜や内痔核は排便のときに脱出することが多く見られますが、症状が軽ければ自然に戻ったり指で押し戻せたりすることがほとんどです。しかし、悪化すると自力では戻せなくなり、激痛を生じるようになるため、症状の進度によっては手術が必要になります。

脱肛になるのはどうして?

脱肛の原因には様々な説があります。ひとつは、老化によるものです。肛門を締めたり広げたりするための「肛門括約筋」が年をとっていくうちに弱まり、肛門周りの組織が肛門や直腸粘膜を支えられず、粘膜が脱出してしまいます。

また、脱肛の最も多い要因は内痔核の悪化だとされています。以下は内痔核の発生や悪化の主な原因です。

・便秘のため、長時間便器に座ったままいきむ
・仕事で長時間座りっぱなしになる習慣がある
・辛い食べ物やお酒といった刺激物の摂り過ぎ
・妊娠、出産

いきみや長時間肛門に体重がかかることにより、肛門静脈叢のうっ血が起こります。このうっ血の繰り返しが静脈を広げることにつながり、静脈瘤(この場合はいぼ痔)が形成されるのではないかと言われています。

脱肛になると、どんな症状が出てくる?

脱肛しても、初めのうちは自分で押し戻すことができますが、進行するとすぐに脱出、常に脱出しているようになり、自分では戻すことができません。肛門内の粘膜や内痔核が脱出している状態が続くと、以下のような症状が現れます。

・出血
粘膜や痔核が下着と擦れることで傷ついたり炎症が起こったりし、出血します。

・痛み
擦れなどによる炎症は痛みを生じます。

・分泌液の増加
脱出した粘膜から分泌される粘液により、常に肛門の周りが湿っている状態です。下着も汚れるようになります。

・肛門湿疹
粘液の増加の刺激によって皮膚炎を起こし、湿疹ができたりただれたりします。

また、脱出した痔核を戻せなくなる状態を「嵌頓(かんとん)状態」といい、激痛や壊死、発熱といった症状が現れることがあるため注意が必要です。

脱肛はどうやって治す? 予防法は?

指で押し戻せるような軽度の脱肛の治療においては、内服薬や軟膏などを用いた保存的療法が中心です。痛みや炎症が見られるのであれば、鎮痛剤や抗炎症剤なども投与されます。自分では戻せなくなってしまったり、排便や歩行などの日常生活に支障をきたしたりする場合には、以下のような方法で手術が行われます。

・ゴム輪結さつ法
・痔核結さつ切除術
・ALTA(ジオン)硬化療法

また、脱肛の悪化防止や予防も大切です。

・下痢の場合はマグネシウム製剤、下痢の場合は整腸剤を使用し、排便が正常に行われる状態にする
・お風呂に入ったときにきれいに洗ったり、排便後にシャワートイレを使用したりした後、しっかりと乾し、清潔を保つ(ただし、洗い過ぎには注意しましょう)
・刺激物の摂取を控えるなど、食生活に気を付ける
・粘膜の脱出防止のため、括約筋を自分で締める運動を行う

おわりに:脱肛は、悪化すると激しい症状に発展することも。医師と相談しながら適切な治療をしていこう

脱肛も軽いものであれば自然に戻ったり指で戻せたりしますが、悪化すると戻らなくなり激しい痛みや出血などが現れるようになります。悪化防止や予防のためのセルフケアも大切ですが、状態によっては手術が必要な場合もあるので、医師と相談しながら自分にあったケアをするようにしましょう。

 

関連記事

この記事に含まれるキーワード

痛み(148) 出血(32) 内痔核(16) 脱肛(2)