強迫性障害は治療することができるの?

2017/11/27

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

不安障害の一種である強迫性障害ですが、強迫性障害は治療可能な病気なのでしょうか?治療できる場合、具体的にどんな方法で治していくのでしょうか?

強迫性障害の症状の基礎知識

強迫性障害とは、ある特定の事柄に強いとらわれがあったり、ある行為をひたすら繰り返したりする不安障害の一種です。性別や年齢を問わず発症することのある病気で、脳内にある神経伝達物質の異常のために起こると考えられています。強迫性障害には、頭から離れない「強迫観念」と、強迫観念のためにやらずにはいられない「強迫行為」の2種類があります。

どうやって治療するの?

現在、強迫性障害を治すのに有効とされている治療法は、「薬物療法」と「認知行動療法」の2つです。治療法別にご紹介します。

治療法1:薬物療法について

強迫性障害を改善させるのに有効と言われる薬のひとつが、抗うつ剤のひとつであるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)です。強迫性障害にかかる人は、脳内の神経伝達物質のひとつ、セロトニンが異常を起こしているために、誤った伝達がされ同じ行動の繰り返しやひとつの思考にとらわれるということが発生しています。このセロトニンの量を調節してくれるのがSSRIです。SSRIの他に、漢方薬を用いて治療を行う病院もあります。

薬物療法のメリット

薬物療法のメリットは、手軽さと続けやすさです。薬を処方してもらうために定期的に通院することは必要ですが、医師との面談と薬の処方をしてもらうのみなので、長く時間がかかることはあまりないと言えます。また、人によっては薬を服用後2~3週間と比較的短期間で症状が現れることもメリットのひとつです。

薬物療法のデメリット

強迫性障害の薬物療法では、他の心の病気と比べて用量の多い薬を服用しないと効果が現れません。また、処方される薬によっては、体が薬に慣れてしまったり(耐性)、薬を手放せなくなったりする(依存性)可能性もあるため、注意が必要です。更に、自分の判断で薬の服用をやめると高い確率で強迫性障害を再発させてしまう可能性もあります。

治療法2:認知行動療法

認知行動療法とは、心の病気から回復するための治療法のひとつで、心理学が基になっています。認知療法では、自分では気づかない考えをその人に認識させ、行動療法ではその人が行なっている動作で問題となっている部分を修正させます。

強迫性障害の患者さんへの認知行動療法で一般的なのが、「曝露(ばくろ)反応妨害法」です。具体的には、患者さんがとらわれていることについて避けるのではなく向き合い、患者さんが恐れているようなことは発生しないと分かってもらうことが第一段階です。例えば、患者さんが汚いということにとらわれを持っている場合、汚いと感じる場所をあえて触ってもらいます。そして、汚い場所を触った後に手洗いを繰り返していたことをやめるのが第二段階です。

認知行動療法のメリット

認知行動療法は薬物療法よりも効果が高く、再発率が低い治療法です。薬物療法と組み合わせることによって更に高い効果が期待できます。認知行動療法を最後まで継続して改善が見られた場合、薬物を減らしても再発しにくくなるとも考えられています。

認知行動療法のデメリット

認知行動療法は心理学を使った治療法のため、薬物療法のようにどこの病院でも受けられるというわけではありません。強迫性障害に対して正しい知識があり、認知行動療法に反映させられる医師や治療担当者が必要です。また、この治療では始めは一時的に不安が増幅する可能性があるため、家族や周囲の人も患者さんが治療に耐えられるようにサポートをすることが大切です。

おわりに:専門の医療機関にて、自身に合った強迫性障害の治療を

強迫性障害は、適切な治療を受けることによって治すことが可能です。薬物療法と認知行動療法を組み合わせることで高い効果が得られますが、患者さんによって適した治療法が異なる場合もあるので、医師と相談の上適切な治療を受けましょう。

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