咽頭癌は発症部位によって症状が違う?!

2017/11/27

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

鼻の奥から食道の入り口まで続く咽頭に発生する「咽頭癌」。実は咽頭癌は発生箇所によって複数種類があり、それぞれで現れる症状が多少異なるとされています。以降で詳しく解説していきます。

咽頭癌とは?

咽頭とは、食べ物や飲み物が通る器官で、鼻腔の後側から声帯の上までの部分を指します。上部は上咽頭、舌の付け根あたりは中咽頭、下部は下咽頭と3つに分けられ、癌ができた部位によって上咽頭癌・中咽頭癌・下咽頭癌と区別されます。

咽頭癌は初期症状があまり見られないことがほとんどで、食べ物を飲み込むのが困難になったりという典型的な症状が現れた時には癌が進行していることも多いです。また、どの部位に癌ができたかによって、現れる症状も違ってきます。

上咽頭癌の特徴と原因

上咽頭は鼻腔のつきあたりから口蓋垂と扁桃の上後方までの部位で、頭蓋底の骨が境となって脳と隣接しています。上咽頭癌はこの上咽頭の周辺に発生する悪性腫瘍で、唾液を介して感染するEBウィルスが大きく影響していると言われています。

上咽頭癌の症状では、見た目としては頸部リンパ節の腫れがあげられます。また上咽頭には聴覚・視覚に関係する神経器官があるため、ここに癌ができると難聴・耳鳴り・視力低下といった症状が現れることがあります。また、脳にも近い部位ですので、脳神経麻痺が発生して神経痛・頭痛なども引き起こされることもあります。

中咽頭癌の特徴と原因

中咽頭とは、口を開けて奥に見える部位であり、さらに軟口蓋(上顎の軟らかい部分)・扁桃・後壁(口奥の突き当り)・舌根という4つの部位に区別されています。中咽頭は食べ物・飲み物・空気の通り道でもあり、嚥下(飲み込む)・構音(言葉を話す)という動作を行う時に重要な役割を担っている部分でもあります。

中咽頭癌で最も多いものでは扁平上皮癌(粘膜上皮より発生する癌)があり、悪性リンパ腫、腺癌(付属腺より発生する癌)なども見られます。初期症状は出にくいことが多く、扁桃腺が腫れて食べ物が飲み込みにくくなって初めて気が付くというケースが多いです。

下咽頭癌の特徴と原因

下咽頭とは、のどの奥の食道に繋がる部分で、下はちょうど「のどぼとけ」あたりになります。下咽頭癌は、中でもかなり進行が進んでから症状が出る部位だと言われ、頸部のリンパ節にも転移しやすいことが分かっています。またその約60%において、初診時にはリンパ節に転移が見られ、進行癌としての治療が必要となるという特徴を持っています。

下咽頭と耳を結んでいる神経経路に癌が浸潤すると、耳に激しい痛みを感じたり、リンパ節への転移があると首にしこりを感じたり、咽頭(気管)とも繋がる部分もあります。このため呼吸がしにくくなったりもします。

どうやって治療するの?

咽頭癌の治療法では、放射線療法、化学療法、外科療法の3つがありますが、咽頭は食べ物を飲み込んだり声を出したりという動作に深く関係している部位ですので、咽頭の機能を失わせないようにするためにも、放射線療法と化学療法がまず選択されることが多いです。但し、それぞれの部位における癌では治療法が異なってきます。

まず上咽頭癌の場合には、聴覚・視覚に関係する神経が集中しているため、外科手術は行うことが少ないです。抗がん剤や放射線治療で癌細胞を死滅させつつ、咽頭を残すという方法です。

中咽頭癌では、扁桃腺・舌・顎の骨などの組織を切除することもありますが、再建術も行われることが多いです。

そして下咽頭癌はかなり進行してから気づくことが多いため、咽頭・食道・リンパ節などを切除することが多いです。

おわりに:症状に気づきにくい咽頭癌。気になる変化があれば早めに検査を

咽頭癌は初期症状があまり目立たないために、気づかないうちに進行してしまう恐ろしさがあります。発生部位によって多少症状が違いますが、飲み込みにくさやリンパ節の腫れなど気になる症状がみられたら、早めに病院で検査を受けるようにしてください。

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