膿胸(のうきょう)発症の4つの原因と特徴を解説!

2017/11/29

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

膿胸は胸膜腔という空間に膿が溜まることで発症します。肺炎などの感染症が原因で発症することが多いといわれていますが、原因はほかにもあるのです。膿胸の原因を項目別にまとめていますので、参考にしてください。

膿胸(のうきょう)とは?

膿胸とは、胸膜の間の胸腔内に膿が貯留した状態をいいます。

肺はその表面を直接覆っている臓側胸膜と胸壁の内側を覆っている壁側胸膜に包まれており、この2枚の胸膜の間の空間を胸膜腔と呼びます。胸膜に炎症が起きると、胸腔の胸水が増え、膿のように混濁します。これを膿胸といい、発症から3か月以上続くかどうかを目安として「急性膿胸」と「慢性膿胸」に大別されます。

膿胸になるとどんな症状が出るの?

急性膿胸の症状で最もよく見られる症状は、高熱と胸痛です。膿の貯留が著しい場合は、肺が圧迫されて息苦しく、普通の呼吸すら難しくなり呼吸困難に陥ることもあります。膿性喀痰に加え、胸部X線(レントゲン)像で胸水貯留がみとめられます。

慢性膿胸の場合は、胸膜の肥厚による肺の拡張不全や拘束性換気障害がみられることが特徴です。胸水が増加したままなので、肺や心臓が圧迫を受け続けるため、呼吸困難がひどくなり、チョコレート色の膿性喀痰が見られる場合もあります。胸膜が肥厚すると、悪性リンパ腫が発生することがあります。ただし症状は人によって異なり、結核菌感染の場合は症状に乏しいケースもあります。

膿胸の原因はひとつじゃない?!

膿胸は自然に起こるものではなく、細菌、真菌、化学物質が胸腔に入って炎症を起こし、膿が作り出されることで発症します。
急性膿胸の原因菌としては、肺炎球菌やレンサ球菌、黄色ブドウ球菌、嫌気性菌などが挙げられ、これらの原因菌の感染による呼吸器疾患(肺炎など)をきっかけに発症することが多いですが、それ以外にも術後合併症や外傷などが原因になことがあるのです。

下記に膿胸の原因になるものを詳しくまとめました。

感染性呼吸器疾患

肺炎や肺化膿症など、細菌感染により呼吸器が炎症を起こすと、その感染が胸膜にまで広がることがあります。感染した胸膜は炎症を起こし、胸腔に溜まっている胸水の中で細菌が増殖して膿胸を発症します。

肺炎などの感染症は、胸腔に細菌が侵入する原因のなかでも特に多いものです。実際、膿胸の70%は肺炎が原因で起きているといわれます。
嚥下障害がある人や免役不全の人、違法薬物やアルコールを乱用している人は肺炎のリスクが高まるので注意が必要です。特に高齢者や糖尿病患者、ステロイド剤の長期使用者は抵抗力が低下しています。そのため、口の中に常在している嫌気性菌を誤って飲み込んだ場合、これが胸腔に達すると細菌感染を起こし、膿胸を発症することがあります。

外科手術の術後合併症

肺や心臓、食道などの胸部手術をした後に、手術の傷口から細菌感染を起こすことがあります。傷口から侵入した細菌が胸腔に達すると、膿胸を発症します。
肺切除や食道切除の手術で縫合不全があると、気管支瘻が生じたり、細菌感染が生じたりして、膿胸を発症します。また医療器具を通して細菌が胸腔に侵入することもあります。実際に、膿胸の2割は胸部手術や胸腔穿刺などの医療処置が関わっているという報告もあるようです。

外傷

交通事故などで外傷を負うと、外傷部分から細菌が侵入することがあります。侵入した細菌が胸腔に達すると、細菌感染を起こし、膿胸を発症することがあります。

食道穿孔

胃カメラ検査などの医療行為の際、また、誤って薬剤のシートや鋭く尖った異物を飲みこんだ場合、食道が傷ついて、食道穿孔を起こすことがあります。食道の損傷部分から細菌が侵入して胸腔に達すると、細菌感染を起こし、膿胸を発症しやすくなります。

おわりに:膿胸の原因は様々。胸の痛みが伴う発熱はまずは病院で検査してもらおう!

膿胸は慢性化すると呼吸困難を引き起こす危険性があり生死にかかわりかねません。急性膿胸は風邪のような症状にあわせて胸の痛みが起こります。疑わしい症状があるときは、なるべく早めに病院で検査してもらいましょう。

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