中高年に多い「膜性腎症」ってどんな病気?

2017/12/4

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

40歳前後から発症リスクの高まる腎臓の病気に、「膜性腎症」があります。ではこの膜性腎症とはどんな病気なのでしょうか?原因や症状、治療法などを幅広くお伝えしていきます。

膜性腎症とは?

腎臓は、血液を濾過し老廃物を尿として排出する、血圧の安定、造血など健康上重要な役割を果たしている臓器です。その腎臓の中で大きな機能を果たしているのが「糸球体」と呼ばれる部分です。糸球体はまさに血液を濾過する中枢とも呼べる部分で、この部分に支障が発生すると血液が濾過されず、老廃物などが血液に混ざって全身を循環するようになります。そして膜性腎症は、この糸球体の基底膜と呼ばれる部分に異常が発生することで、タンパク尿やむくみなどのネフローゼ症状が出てくる病気です。

この基底膜に支障が発生する要因としては免疫の異常が関係しているとも言われています。膜性腎症は40歳以上の成人がかかることが多く、逆に子供がかかることは少ないのが特徴です。

どんな症状が出るの?

膜性腎症の代表的な症状として挙げられるのがネフローゼ症候群です。これは糸球体が阻害され、血中のタンパク質の多くが尿として排出されることが原因で発症する諸症状です。

具体的なネフローゼの症状には、重度のむくみがあります。これは通常ではむくみが出にくい部分、目の周りなどにも出てくることがあります。また尿中のタンパク質が多くなるので、尿が泡立つことも多くなります。

更に症状が進行すると、糸球体から腎臓全体の機能低下が引き起こされることもあります。こうなると腎臓の機能、造血や血圧安定などにも問題が出てきやすくなり、たとえば貧血や高血圧と言った症状も出やすくなります。そこから先にまで進行してしまうと、腎臓機能がほとんど失われてしまう腎不全につながる恐れもあります。

膜性腎症を発症する原因は?

膜性腎症には、原因がわからない特発性のものと、特定の疾患などが原因で引き起こされる二次性のものがあります。膜性腎症を発症した人の約7割は、特発性に該当するとされています。

二次性の原因として挙げられている病気として、まず胃癌や大腸癌、リンパ腫悪性腫瘍が挙げられます。また梅毒、B型ウイルス性肝炎などの感染症も原因のひとつと考えられています。ほかに、膠原病や、薬剤によって引き起こされる場合もあります。こういった病気により免疫機能に影響が出ることで、膜性腎症を発症するのではないかと考えられています。

治療法について

膜性腎症の治療法ですが、まず病気が原因となっている二次性の場合は、その病気を治療することが第一です。薬剤が原因であった場合には、その薬剤の中止が検討されることもあります。

一方、特発性の膜性腎症の治療では、腎機能の低下を防ぐことに重きが置かれます。まず、食事療法によりタンパク質や塩分などの摂取量を抑制することが、生活においては求められます。

また薬物療法も行われ、ここでは副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制剤などが使用されます。これらの薬はいずれも、膜性腎症の原因と考えられている免疫機能の異常に働きかけるものです。ただ、症状がかなり進行し腎臓機能が著しく低下してしまっている場合には、副腎皮質ステロイド薬は効きにくくなってしまいます。

おわりに:膜性腎症で腎不全になることも。異変があったら病院へ

最終的には腎不全にも発展する恐れのある膜性腎症。重度のむくみや尿の泡立ちなど、明らかな異変がみられたら、専門の医療機関を受診しましょう。

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