半陰陽とは ~ 生まれつき、性別を区別するのが難しい症状 ~

2017/12/5 記事改定日: 2019/9/26
記事改定回数:2回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

男性の遺伝子情報をもっているのに女性のような外性器を持つ人や、女性の遺伝子情報をもっているのに男性のような外性器を持つ人、または両方の外性器を持つ人を半陰陽といいます。非常にデリケートな問題ではありますが、現代社会の中で避けては通れない問題であることも事実です。この記事では半陰陽について解説しています。

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半陰陽とは

半陰陽には、真性半陰陽と仮性半陰陽の2種類があります。

男女の性を決めるのは、性染色体であるX染色体とY染色体の組み合わせです。通常、染色体のペアがXXだと女性となり、XYだと男性になり、同じ個体の細胞の染色体はこのペアで統一されます。

真性半陰陽は、XXを持つ細胞とXYを持つ細胞が同じ個体で混在している状態になってしまったり、XYの染色体を持っているのに男性ホルモンの分泌がないものや、XXの染色体を持つのに男性ホルモンが過剰に分泌されるなどの問題が起こることです。真性半陰陽は、男性と女性の生殖器、精巣と卵巣を両方持って生まれます

仮性半陰陽はお腹の中にいるときに男らしさや女らしさを作るホルモンに異常が生じることで引き起こされると考えられています。仮性半陰陽は、本来の性別が持つ生殖器が正しく形成されません。XYの染色体を持ち精巣があっても、小さなペニスと腟のような穴を持っていたり、XXの染色体を持ち卵巣が備わっていても、ペニスのような形に性器が変形したりします。

生殖器の見た目だけでは、本来の性別と反対に捉えられる可能性があります。出産時に医師や看護師によって疑いが持たれた場合、染色体検査を行って真性か仮性かを判別します。

半陰陽の症状は?

真性半陰陽の場合

生まれた段階で外性器の見た目に異常が見られ、色が黒ずんでいることも多いです。思春期になっても一般的な第二次性徴期が現れず、男性は胸が大きくなることもあります。卵巣と精巣の両方の影響を受けるため、男らしさと女らしさが混在するようになります。手術をしていない方は、思春期に半陰陽のことを知り、自分の性について深く考えるようになることが多いようです。

仮性半陰陽の場合

第二次性徴期に出生時に言われた性別とは反対の変化がみられます。男性は女性ほどではないものの、胸が大きくなるなど女性ホルモンの影響を受けます。女性ホルモンだけが分泌される場合は、染色体は男性のため不妊になります。

女性の場合、ヒゲなど体毛が濃くなって男性のような見た目になりやすいです。仮性半陰陽の女性にも腟は存在しますが、子宮が機能していないので自然妊娠することができません。遺伝子情報に反して見た目は男性的もしくは女性的なので、不妊治療を受ける過程で初めて自分の体を知ることもあります。

性別を決めるのはいつ頃か

生まれたばかりの子供が半陰陽だと分かっても、大人たちが勝手に性別を決めたり、子供のうちから本人の意思を聞いたりすることは望ましいとは言えません。染色体について正しい知識を得て、体の変化にも気づく第二次性徴期くらいから性別を決めることが多いといわれています。生殖器が不完全なため子孫を残すのが難しいといったことも説明し、本人の意思を尊重して治療を促しましょう。

治療では内性器や外性器の形成手術を行い、ホルモン剤を服用します。治療の中でもとくに大切なことは、どの性別で生きていくかを決めることです。両親や周囲の大人がサポートする必要であり、特に思春期には大きな精神的なショックを受けることも予想されます。必要に応じて病院のカウンセリングも利用しましょう。

おわりに:性別の決定は必ず本人に。周囲は十分なサポートを

  • 自身が半陰陽であることを知り、今まで違和感や悩みを抱えていた人が腑に落ちて性別を変えることもあれば、そのままの性別でも違和感なく満足して過ごしていけている人もいる
  • どちらが正しいということではなく、尊重すべきは本人の意思
  • 性の判別は必ず本人に決めてもらい、周囲の大人は様々な問題に備えてサポートに徹する

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