記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/13 記事改定日: 2019/9/26
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
鎖骨骨折とは、肩甲骨と胸骨をつなぐ鎖骨が骨折することです。鎖骨を骨折するとどんな症状が現れ、どんな治療が必要になるのでしょうか。骨折の原因と後遺症のことも含めて、鎖骨骨折の基礎知識をご紹介していきます。
鎖骨は肩甲骨と胸骨を結ぶS字形をした棒状の骨で、肩甲骨とともに上肢帯(体幹と上肢を支える骨格のこと)を作っています。この骨を骨折することを鎖骨骨折と呼び、骨折の中でも特に頻度が高いものだといわれています。
鎖骨の中央より3分の1によく起こり、骨が折れたときは中心部側が上側に外側が下側にずれることが特徴です。鎖骨は、転んで肩から落ちたりバイクで転倒したときに骨折しやすく、若い男性に多いといわれています
鎖骨を骨折すると、骨が折れた部位に痛みや腫れが起こり、腕を上にあげられなくなります。痛みは非常に強く、肩や背部にまで痛みが広がることもあり、血管や神経に損傷が及んだ場合はしびれや麻痺が起こることもあります。骨折部が大きくずれているときには、外部から骨のズレを確認できることもあります。
痛み以外の症状として、骨折した部位に皮下出血などが起こることがあります。また、鎖骨の内側が筋肉によって上方向へ引っ張られ、反対に外側は腕の重みで下がってしまったり、肩幅が左右で違って見えるようになることもあります。骨折そのものは自然に治癒しますが、正しい状態に整復して固定しないと、骨が変形して治癒してしまい歪んだ見た目がそのまま残ってしまう可能性もあります。
鎖骨骨折に限らず、骨折の治療には保存療法と手術療法の2種類があります。基本的には骨を整復して元の状態に戻し、八字帯固定法や鎖骨バンドなどで固定して骨の融合を待つ保存的療法が行われます。痛みに関しては消炎鎮痛剤などで抑えるのが一般的です。鎖骨は折れやすい反面で治りがはやいのでよほどひどい状態でなければ保存療法が適応されます。
ただし、以下のような場合は手術療法が選択されます。
手術を行わなくても骨癒合(骨がくっつき治癒すること)しますが、正しい位置で骨癒合しないと外観上の変形が残る可能性があります。また、重症の場合やきちんとリハビリを行わなかった場合は、肩関節の動きが悪くなったり、痛みが残るといった後遺症が発生することもあります。骨折時に神経が傷ついてしまったうと、腕や手のしびれの後遺症が治らずにそのまま残ってしまうこともあります。