成人T細胞白血病(ATL)の治療方法と予防対策とは?

2017/12/18 記事改定日: 2019/5/23
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は、白血球のなかのT細胞にHTLV-1ウイルスが感染することで発症します。
ただし、感染したからといって必ず発症するわけではありません。
この記事では、成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)の治療方法などを解説していきます。

成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)とは?

成人T細胞白血病(ATL)はHTLV-1というウイルスに感染することで発症する病気です。しかしHTLV-1に感染しても全ての人が発症するわけではなく、感染していても気づかないまま生活をしている人も多いといわれています。

HTLV-1は白血球のひとつであるTリンパ球(T細胞)に感染し、悪性化したT細胞が異常に増殖することで発症します。このがん化した細胞がATL細胞であり、異常増殖したATL細胞は血液やリンパ節を通って全身に広がっていきます。

ウイルスに感染してから発症までの時間が長く感染しても一生涯発症しないこともよくあり、60歳ごろが発症のピークとなっています。

成人T細胞白血病にはどのような治療法があるの?

成人T細胞白血病(ATL)は症状によって治療法が変わってきます。

症状には急性型とリンパ腫型、慢性型、くすぶり型があり、このうち急性型、リンパ腫型、慢性型(予後不良因子があるもの)は進行が速いため早期の治療が必要です。これらはアグレッシブATLと呼ばれ、治療は化学療法が中心になります。

ドナーが見つかった場合は同種造血幹細胞移植が検討されますが、高カルシウム血症の合併症がみられるときは、カルシトニン製剤やビスフォスフォネート製剤の投与が行われ、日和見感染に対しては抗菌薬による治療が行われます。

慢性型(予後不良因子がないもの)とくすぶり型は進行が緩やかのため経過観察となることが多く、皮膚症状が現れている場合のみ対症的に治療が行われます。
皮膚症状の治療には、紫外線療法や放射線治療、副腎皮質ステロイドの使用などが行われ、効果がみられないときは抗がん剤による化学療法が検討されることもあります。

成人T細胞白血病は予防できる?

成人T細胞白血病(ATL)の原因となるHTLV-1は、性行為(セックス)や母乳、輸血が感染経路になります。

献血時に抗HTLV-1抗体検査を行うようになったため、日本国内においては現状輸血による感染はありえません。
感染例として多くみられるのは、母乳を介しての母子感染です。発症例が多い地域では、妊婦検診の際に抗HTLV-1抗体検査を行うことで、母子感染の予防に努めています。

母子感染の予防

HTLV-1はリンパ球に感染するため、母子感染はリンパ球が多く含まれる母乳を直接与えることが主な原因となります。

母子感染を予防するためには、母乳を与えないことが一番です。現在では栄養価が優れた人工ミルクも多く販売されていますので、人工ミルクで育児するよう推奨されています。

生後三か月以内のみのごく短期間だけ母乳を与える・母乳をいったん冷凍してから与えるといった方法で母乳育児をすることもありますが、この方法では母子感染の危険を大幅に減少することはできますが確実に感染を予防できるわけではありません。

どのように赤ちゃんを育てていくかについては、医師とよく話し合って決めるようにしましょう。

性行為での感染の予防

HTLV-1は精液中にも含まれています。このため、性行為をするとパートナーに感染させてしまうことがありますので、感染を予防するにはコンドームの着用が必要です。

しかし、性行為による感染に関しては、どの程度の頻度で生じるか明確には分かっておらず、万が一感染したとしても健康被害がないことがほとんどです。

このため、パートナーがHTLV-1に感染しているからといって、コンドームを常に着用しなければ危険というわけではなく、妊娠を希望するカップルは妊娠・出産後からしっかり予防対策を取るようにすれば問題ないでしょう。

おわりに:ATLは潜伏期間が長く発症しないこともあり、治療法は症状によって違う

ATLは、HTLV-1がT細胞に感染してT細胞が異常増殖することで様々な症状が現れます。性行為も感染経路ではありますが、母乳による母子感染がほとんどといわれています。
治療は症状にあわせた治療が必要になるため、同じATLでも方法が全く違ってきます。信頼できる医師のもとで適切な治療を受けられるようにしましょう。

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