成人T細胞白血病(ATL)の治療法と予防法について

2017/12/18

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は、白血球のなかのT細胞にHTLV-1ウイルスが感染することで発症します。ただし、感染したからといって必ず発症するわけではありません。この記事では、成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)の症状や種類、治療方法などを解説していきます。また、感染経路と予防についての情報もあわせて紹介します。

成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)とは?

成人T細胞白血病(ATL)はHTLV-1というウイルスに感染することで発症する病気です。しかしHTLV-1に感染しても全ての人が発症するわけではなく、感染していても気づかないまま生活をしている人も多いといわれています。
HTLV-1は白血球のひとつであるTリンパ球(T細胞)に感染し、悪性化したT細胞が異常に増殖することで発症します。このがん化した細胞がATL細胞であり、異常増殖したATL細胞は血液やリンパ節を通って全身に広がっていきます。

成人T細胞白血病(ATL)は九州や沖縄といった日本の西南地方に多いという特徴があります。ウイルスに感染してから発症までの時間が長く感染しても一生涯発症しないこともよくあります。発症する可能性は5%ほどといわれ、60歳ごろが発症のピークとなっています。

どのような治療法があるの?

成人T細胞白血病(ATL)の症状は多様であり、症状によって治療法が変わってきます。

症状には急性型とリンパ腫型、慢性型、くすぶり型があり、このうち急性型、リンパ腫型、慢性型(予後不良因子があるもの)は進行が速いため早期の治療が必要です。アグレッシブATLと呼ばれ、治療は化学療法が中心になります。また、ドナーが見つかった場合は同種造血幹細胞移植が検討され、高カルシウム血症の合併症がみられるときは、カルシトニン製剤やビスフォスフォネート製剤の投与が行われ、日和見感染に対しては抗菌薬による治療が行われます。

慢性型(予後不良因子がないもの)とくすぶり型は進行が緩やかのため経過観察となることが多く、皮膚症状が現れている場合のみ対症的に治療が行われます。皮膚症状の治療には、紫外線療法や放射線治療、副腎皮質ステロイドの使用などが行われ、効果がみられないときは抗がん剤による化学療法が検討されることもあります。

成人T細胞白血病リンパ腫を予防する必要はあるの?

成人T細胞白血病(ATL)の原因となるHTLV-1は、性行為(セックス)や母乳、輸血が感染経路になります。
献血時に抗HTLV-1抗体検査を行うようになったため、現状輸血による感染はありえません。感染例として多くみられるのは、母乳を介しての母子感染です。発症例が多い地域では、妊婦検診の際に抗HTLV-1抗体検査を行うことで、母子感染の予防に努めています。
セックスで感染したとしても、潜伏期間が長いため、発症にいたることがないと考えられています。ただし、免疫機能が著しく低下する持病がある場合や高齢者の場合はこの限りではありません。

おわりに:ATLは潜伏期間が長く発症しないこともあり、治療法は症状によって違う

ATLは、HTLV-1がT細胞に感染してT細胞が異常増殖することで様々な症状が現れます。感染経路は母乳による母子感染がほとんどであり、セックスで感染しても発病することはないといわれています。治療は症状にあわせた治療が必要になるため、同じATLでも方法が全く違ってきます。信頼できる医師のもとで適切な治療を受けられるようにしましょう。

この記事に含まれるキーワード

母子感染 高カルシウム血症 成人T細胞白血病リンパ腫 ATL HTLV-1 カルシトニン製剤 ビスフォスフォネート製剤 日和見感染