記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/12 記事改定日: 2020/1/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
男性なのに乳房が大きくなっている、鍛えても男らしい胸にならない場合は「女性化乳房」かもしれません。今回は女性化乳房の特徴や原因、治療法など全般的な情報をお伝えしていきます。
女性化乳房は、男性でありながら女性のようにバストがふくらみ大きくなってしまうことです。500人に1人ほどが発症するとされるので、そこまでめずらしいものではありません。
乳腺組織は授乳をするためのものですが、男性にも乳腺組織があります。
男性は、女性ほど乳腺組織が発達することはないため女性のようにバストがふくらむことはありません。
女性化乳房のなかでも、かなりバストが大きく発育する場合もあれば、しこり程度にしか発育しない場合、片方だけ発達する場合など、バストの発育には個人差があります。
女性化乳房には真性女性化乳房と偽性女性化乳房の2種類があります。
真性女性化乳房とは、乳腺が発達することでバストがふくらんでいく女性化乳房で、過剰に女性ホルモンが増えることが原因です。
前立腺がんの治療に用いられる抗アンドロゲン薬やエストロゲンなど内分泌に影響を与える薬品の使用や、加齢による精巣機能の減退で女性ホルモンの割合が増え、女性化乳房の症状が現れることがあります。
また、甲状腺や性腺の病気やクラインフェルター症候群のような先天的な問題が原因になることもあります。
また、過度なストレスなどが原因でホルモンバランスが乱れ、女性ホルモンが過剰に増えることもあります。
男性にも女性の数%ほどですが女性ホルモンが存在するので、何らかの原因で男性ホルモンが分泌されなくなってしまったり、女性ホルモンが過剰に分泌されるようになると、乳腺が発達してバストがふくらみ、女性化乳房になってしまうことがあるのです。
偽性女性化乳房は乳腺の発達が無いのにバストが膨らむ症状です。原因は脂肪が胸周りに付くことで、もともと肥満体型である人によく見られます。
女性化乳房の多くは自然に治ることが多く、さらに薬剤が原因の場合はその薬剤を中止すれば自然に治るため治療が必要でないことも多いです。
しかし、乳房の痛みがひどい場合、乳房が多くなることで日常生活に支障が出る場合などは治療が検討されることもあります。
また、女性化乳房の中には、甲状腺機能亢進症やクラインフェルター症候群などの病気、乳腺の発達を促すプロラクチンと呼ばれるホルモンの産生する腫瘍、腎不全、肝硬変などによって引き起こされているものもあります。
このような女性化乳房は大きくなった乳房自体の治療は必要ありませんが、原因となる病気自体の治療は必要となります。
女性化乳房の治療方法は原因によって異なります。真性・偽性それぞれの主な治療法は次の通りです。
過剰に分泌されたエストロゲンの働きを抑えるための抗エストロゲン薬による薬物療法が行われます。しかし、抗エストロゲン薬の効果が十分でない場合は、乳腺を切除する手術が行われることもあります。
偽性女性化乳房の主な原因は肥満であるため、肥満を解消するための食事療法や運動療法などが行われるのが一般的です。しかし、十分な効果がない場合は手術による切除も検討されます。
女性化乳房には真性女性化乳房と偽性女性化乳房があり、それぞれで発症原因や治療法は異なります。症状がなければとくに治療を必要としませんが、痛みがあったり、女性化乳房が心理的な負担になっている場合は治療が検討されます。
また、何らかの病気が原因で女性化乳房を発症している場合や乳腺の発達で乳がんのリスクが高まることもありますので、気になる場合は一度専門医に相談してみましょう。