妊娠糖尿病の人は食事でどんなことに注意すればいい?

2017/12/18 記事改定日: 2019/11/13
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

妊婦検診にて「妊娠糖尿病」と診断されてしまった場合、普段の食事ではどんなことに気をつけたらいいのでしょうか?
この記事では、妊娠糖尿病の食事療法のポイントについて解説していきます。

妊娠糖尿病とは?

妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発症した糖代謝異常の一種で、まだ糖尿病までには至っていないものをいいます。

この定義には妊娠前からの糖尿病は含まれず、また、妊娠前までに糖尿病を発症したことがない人にも発症することがあります。妊婦さんで妊娠糖尿病を患っている人は、全体の約10~15%とされています。

母体の症状とお腹の赤ちゃんへの影響

妊娠糖尿病の自覚症状はほとんどなく、母体では

  • 妊娠高血圧症候群
  • 流産・早産
  • 網膜症や腎症(糖尿病の合併症)

胎児においては

  • 発育不全もしくは巨大児
  • 新生児低血糖
  • 高ピルピン

などの合併症を引き起こすリスクが上昇することが分かっています。

このため、早期発見するために妊娠初期・中期において妊娠糖尿病のスクリーニング検査を受けることが大切です。

妊娠糖尿病の検査方法と基準値

通常、妊婦健診では定期的に血糖値の計測が行われます。血糖値は空腹時に90㎎/dl未満であることが理想です。
空腹時の血糖値がそれ以上ある場合には糖尿病の可能性が考えられます。

このような一般的な血液検査で糖尿病が可能性があると判断されると、血糖値の状態をさらに詳しく調べるために経口ブドウ糖負荷試験が行われます。
これは、糖分が多く含まれた検査用の飲料を飲んで、その後の血糖を時間を追って測定するものです。

  • 飲料を飲む前の血糖が92mg/dl以上
  • 一時間後の血糖が180mg/dl以上
  • 二時間後の血糖が153mg/dl以上

のどれかに該当する場合には妊娠糖尿病と診断されます。

妊娠糖尿病になったら、どうやって血糖値管理すればいい?

妊娠糖尿病と診断されたら、母体と胎児のために血糖値を良い状態に保つことが必要となります。

血糖値の管理方法としては、食事の工夫や運動、インスリン注射などがあります。

食事療法
糖質を控えたうえで栄養バランスバランスが整ったメニューを心がけ、1日の総摂取カロリーを管理していきます。
運動療法
運動療法では、ウォーキングやマタニティビクス・ヨガ・スイミングなどの「妊婦さん用の運動」を血糖値の一番上がる「食後1時間後」に約30分間ほどすることが推奨されています。
インスリン治療
インスリンは経口血糖降下薬ではなく強化インスリン治療を行うことになります。産後にはインスリンの必要量が減りますので、血糖値の変化に合わせて医師の指示により投与量が調節されます。

妊娠糖尿病の食事制限のポイントは?

妊娠糖尿病における血糖コントロール方法の中でも、一番効果的といわれているのが食事療法です。

妊娠糖尿病の食事療法は通常の糖尿病における食事療法と基本的には同じで、3大栄養素のうちタンパク質・脂質に関しては総カロリーだけを気にして、血糖値上昇に関係する糖質(炭水化物)の摂取を控えるようにするというものです。

食事療法では、炭水化物や糖分の摂取量に注意する必要があります。
糖として吸収される炭水化物には白米・パン・根菜類・かぼちゃなども含まれ、果物(果糖)やスポーツ飲料などの糖分にも普段から気を配る必要があります。

摂取カロリーの目安と食事内容

妊娠糖尿病を発症した場合は厳密な血糖値のコントロールが必要になります。このため、インスリンの自己注射などによる薬物療法も必要となりますが、食事に注意することも大切です。

日本産婦人科学会によれば、BMIが25未満の標準体型の妊婦さんは一日あたり「標準体重×30+200kcal」、BMIが25以上の肥満体型の妊婦さんは「標準体重×30kcal」が摂取カロリーの目安となります。
カロリーの摂り過ぎは糖尿病を悪化させることにつながりますので、摂取カロリーは厳守するようにしましょう。

また、肉類など脂質の多い食品や甘い物など糖分の多い食品の取り過ぎには注意が必要です。野菜や魚介類などを中心にバランスよい食生活を心がけましょう。

そして、妊娠中はつわりや大きくなった子宮が胃を圧迫することなどによって一度に多くの食事を摂れなくなることがあります。そのような場合には、一日の摂取総カロリーに注意しながら一日五食など小分けにするようにしましょう。

赤ちゃんに必要な栄養に注意

妊娠中は胎児の成長のためにも一定のカロリー摂取は必須です。タンパク質・ミネラル分などはしっかり摂取しましょう。

食事を小分けにして血糖値上昇を抑える

糖尿病では、空腹時の血糖値だけでなく食後の血糖値を抑えることもポイントになるので、
1日の総摂取カロリー4~6回くらいに「分食」することをおすすめします。

おやつは食べてもいいの?

妊娠中は、妊娠していないときよりも多くのカロリーが必要であり、空腹時につわりがひどくなる人はおやつを食べてもかまいません。
ただし、あまりに高カロリーなものや糖分が多いものは高血糖のリスクになりますので避けましょう。

妊娠糖尿病の人におすすめのおやつレシピ

妊娠糖尿病も食生活に注意することで発症や悪化を防ぐことが可能です。ここでは、妊娠糖尿病の人におすすめのレシピを3つご紹介します。

豆腐グラタン

がっつりメニューで満腹度が高いグラタンですが、高カロリーのため妊娠中は控えている人も多いでしょう。でも、ホワイトソースの代わりに絹ごし豆腐を利用するだけで低カロリーで良質なたんぱく質を多く摂ることができます。

まず、絹ごし豆腐を滑らかになるまですりつぶし、適量のマヨネーズと味噌を加え、塩コショウで味を調えます。ブロッコリーやニンジンなどお好みの野菜を軽く塩ゆでし、できあがった豆腐ソースをたっぷりかけ、ピザ用チーズとパン粉を振りかけてオーブンで色づくまで焼けば完成です。
さっぱり味なのでつわり中にもおすすめのメニューです。

鶏むね肉のサラダ

鶏むね肉は高たんぱく低カロリーな食材であり、妊娠糖尿病の強い味方です。
鶏むね肉は塩コショウで味付けをして十分な量のお湯に入れてしっかり火を通します。取り出して冷ましたら、一口大に割き、お好みのサラダに投入しドレッシングと和えて完成です。

噛み応えもあるため、満腹感を得ることもできるおすすめメニューです。しかし、鶏肉にはしっかりと火を通すように注意しましょう。

牛乳ゼリー

妊娠中でも食べたくなるおやつ。市販のおやつは高カロリーで糖分が多く含まれているため、手作りに挑戦してみましょう。

低カロリーなおやつとして満足度が高いものの代表がゼリーです。まず、ゼラチンを戻してふやかしておきます。これに適量の牛乳とはちみつを加えて冷やして固めれば完成です。
お好みの果物を入れてもいいでしょう。

妊娠糖尿病の人の、出産後の注意点

妊娠糖尿病は通常、産後6~12週間の内に治るとされています。これは、妊娠糖尿病の原因であった胎盤から産生されるホルモンが出産によって排出されるためです。

しかし、妊娠糖尿病にかかったことのある人は、正常な人に比べて将来的に糖尿病を発症するリスクが高いことがわかっています。
妊娠糖尿病が治ったからといって食生活の大幅な乱れを起こすのは避けましょう。

妊娠中のような厳密な食事制限は必要ありませんが、適切なカロリーと野菜を中心とした栄養バランスの取れた食生活を心がけてください。

おわりに:妊娠糖尿病の治療のポイントは食事での血糖コントロール。

妊娠糖尿病は、流産や早産のリスクを高めたり、発育不全を招いたりする可能性があります。
毎日の食事で血糖コントロールすることが改善のカギとなるので、ご紹介したことをひとつひとつ実践し、元気な赤ちゃんを産み育てられるようにしてください。

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