糖尿病腎症は症状がないって本当?どんな状態のときが危険なの?

2017/12/21 記事改定日: 2018/8/20
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山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

糖尿病腎症は、糖尿病三大合併症のひとつであり、末期になると透析療法が必要になってしまいます。初期では症状が現れないため、定期的な検査が進行を防ぐ鍵となります。この記事では糖尿病腎症の検査と診断について解説しています。糖尿病腎症の早期発見に役立ててください。

糖尿病腎症の症状の特徴 ― こんなときはすぐに病院で診てもらおう!

糖尿病で血糖コントロールが不良で高血糖の状態が長く続くと、全身で動脈硬化が起こります。糖尿病腎症は、腎臓の糸球体でこの動脈硬化が起こり腎障害となる病気です。糖尿病網膜症、糖尿病性抹消神経障害とあわせて糖尿病の三大合併症とされています。

糖尿病腎症の初期には自覚症状がほとんどありません。進行してはじめて下記のような自覚症状が現れます。

  • むくみ
  • 息切れ
  • 全身倦怠感
  • 食欲低下
  • 吐き気
  • 筋肉がつっぱり感
  • 顔色が悪い

糖尿病の人で、これらの症状を少しでも自覚しているようならば、すぐに病院で検査してもらいましょう。状態にもよりますが、腎機能がそれほど低下していない初期の段階であれば、厳格な血糖や血圧のコントロールである程度の回復が可能な場合もあります。

また、早期発見のためには定期的に腎臓の検査をすることが重要です。
食事や運動など、生活習慣を改善して血糖コントロールや血圧コントロールに気をつけることはもちろん、決まったスケジュールで通院することも忘れないようにしましょう。

糖尿病腎症の症状はどのように進行するの?

糖尿病にかかってから、10年から15年を経過してから発症するケースが多く、じわじわとゆっくり進行していくため、症状に気づいたときにはかなりの重症になっていたということも少なくありません。

糖尿病腎症が進行すると腎臓の働きがうまくいかなくなり、むくみや息切れ、高血圧、貧血の進行、骨がもろくなるなどの症状が現れるようになり、さらに進行していくと腎不全になります。腎不全の段階までくると透析療法が必要になってしまい、腎移植が検討される状況に陥ってしまうこともあります。

糖尿病腎症はどうやって検査するの?

糖尿病腎症を早期に発見するためには、定期的に腎臓の状態をチェックすることが重要です。
糖尿病腎症は、尿中のアルブミン量と血中のクレアチニン量の検査で確認します。

微量アルブミン尿検査

アルブミンとはたんぱく質の一種です。本来たんぱく質は体にとって必要な成分のため、腎臓でこしとられ再利用されます。しかし、腎機能が低下していると尿にたんぱく質(アルブミン)が混ざるようになってしまいます。腎機能が正常に作用していれば、かなり高度な検査を行ってもたんぱく質は検出されません。糖尿病腎症になっている場合は、ごくわずかではありますが、アルブミンが検出されるようになります。
アルブミンが微量に含まれるものを微量アルブミン尿と呼び、腎症が悪化すると尿中のアルブミンの量が増え顕性アルブミン尿となります。

血清クレアチニン値

クレアチニンはアミノ酸の一種クレアチンの代謝物であり、老廃物の一種です。血液中のクレアチニン量を調べることで、腎臓の中にある糸球体がどれだけ老廃物をろ過することができるかを判断する材料になります。

病期(ステージ)ごとでの治療方針が違ってくる?

糖尿病腎症は、腎機能障害の程度によって5つの病期(ステージ)に分類されます。

第一期は、腎症前期とされており、血液検査や尿検査などで腎機能低下が見られない、またはごくわずかな状態のものを指します。第一期での治療は血糖コントロールを行うのみで腎機能が保たれることがほとんどです。
また、第二期は早期腎症の段階であり、尿に微量のタンパクが含まれていることや若干の腎機能低下が見られるものを指します。第二期では、より厳密な血糖コントロールが勧められ、また腎臓にかかる負担を増やさないために血圧のコントロールも行われます。

さらに進行すると、第三期に移行します。第三期では、尿中のアルブミンが継続的に多く検出されるようになり、腎機能の悪化も認められます。この段階では、血糖や血圧のコントロールだけで治療を行うのは困難であり、腎負荷の少ない低塩分・低たんぱく食などの食事制限が行われます。
そして、腎不全に至るものを第四期、さらに人工透析が導入されたものを第五期と分類します。

おわりに:初期の糖尿病腎症は自覚症状がほとんどない。定期的に腎臓のチェックを!

糖尿病には数々の合併症があり、その中でも特に注意すべきものが三大合併症のひとつである糖尿病腎症です。自覚症状が現れないので発見が遅れがちであり、見つかったときには手遅れだったということも少なくありません。早期発見のためには定期的な検査が重要なので、医師と相談しながら自分の状態にあったスケジュールで検査するようにしましょう。

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