妄想性障害(パラノイア)の5つのタイプの特徴とは?

2017/12/14

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

妄想を現実のことと思い込む状態がずっと続いてしまう「妄想性障害(パラノイア)」。今回の記事では、パラノイアの5つのタイプの特徴や、治療法を中心に解説していきます。

妄想性障害(パラノイア)はどんな病気?

妄想性障害(パラノイア)とは、妄想を主とした精神疾患です。妄想というのは、内容が非合理的であり非現実的で、訂正不能な思い込みのことを言います。この妄想というものの定義自体が曖昧なのですが、現代の世の中において明らかにあり得ないことを本人が信じ込んでいる場合には妄想に該当します。つまり、一般常識では考えられないようなことを本人は信じて疑わないのがパラノイアの特徴です。

パラノイアの判断基準として、妄想が1ヶ月以上続いていることが挙げられます。しかし基本的に本人に病識はない上に、自分の考えが他人から見れば異常であるということを理解している場合もあれば、理解していない場合もあります。理解していたとしても、その事実を受け入れられないという場合もあります。

治療法はあるの?

パラノイアを持つ人の多くには、病識がありません。自分の考え方が普通だと思っていますし、日常生活に特に支障がないからです。そのためそもそも病院に行くということがなく、この病気を発症していることも知らずに生活している人も多いでしょう。

もし病院を受診し、パラノイアと診断された場合の治療法ですが、効果が大きいものは現段階では存在しません。薬物療法が行われる際には、統合失調症の治療で用いられる薬を投与されますが、あまり効果が得られない傾向にあります。そしてカウンセリングも、妄想という認識がない患者にとってはあまり効果がありません。

そのため、現段階においては抗精神病薬で妄想を抑えつつ、日常生活の中で環境の調整を行っていくというのがもっとも有効だとされています。その際には、家族などの周りの人々の協力が必要不可欠です。

妄想性障害(パラノイア)の分類とそれぞれの特徴

パラノイアには5つのタイプがあります。自分より立場が上の人から愛されているという妄想をする「被愛型」、他の人にはないような才能や能力があると妄想する「誇大型」、配偶者や恋人に対して浮気をしていると妄想する「嫉妬型」、他者からなんらかの被害を受けているという「被害型」、自身の体に異常が生じていると妄想する「身体型」の5つです。

すべて自己満足で終わる妄想であれば問題はないのですが、度が過ぎると他者に迷惑をかけてしまう場合があります。特に被愛型や嫉妬型は手紙を書いたり、自宅まで押しかけたりといった行動や、浮気していると考えられる相手の家まで行ってしまうなどのストーカー行為に及ぶ可能性もありますし、被害型は暴力で対抗したり裁判を起こそうとする人もいます。

どのタイプも主となる妄想の内容は異なるものの、共通して言えるのは「説明しても納得してくれない」ということです。だからこそ話し合いでの解決も難しいですし、治療においても医師の話を聞こうとしない場合もあるので治療は難航する傾向にあります。

おわりに:専門医のもとで継続的な治療を

自分が病気だということを認識できないために、治療が困難になりがちなパラノイア。現段階では効果の大きい治療法は確立されていませんが、抗精神病薬と環境整備によって症状が改善するケースもあるので、専門医のもとで継続的な治療を続けていきましょう。

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