インスリン注射の使用法を守って糖尿病性ケトアシドーシスを防ごう!

2018/1/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

糖尿病の急性合併症として知られる「糖尿病性ケトアシドーシス」は、インスリン注射の打ち忘れや不適切な投与によって起こることが多いとされています。発症を未然に防ぐために、知っておいていただきたいことをまとめました。

糖尿病性ケトアシドーシスとその原因について

糖尿病になると、なんらかの原因で急激に血糖値が上がった時に血液中の糖分がエネルギーとして使われなくなり、代わりに脂肪分がエネルギー源となることで脂肪が分解された後のケトン体が大量に発生します。その結果血液が酸性に傾き、高度の脱水状態になります。このとき引き起こされるのが、糖尿病性ケトアシドーシスです。

糖尿病性ケトアシドーシスになると、血糖値は250mg/dL以上まで上昇することがあります。場合によっては意識を失うことがあり、命を落とす危険性が出てくる状態です。

糖尿病性ケトアシドーシスが起こる主なきっかけは、インスリンの量が不足して、血糖値を下げることができなくなっていることです。ただし、糖尿病性ケトアシドーシスが起こる原因には、インスリン不足の場合と、糖分の大量摂取による高血糖によって引き起こされる場合とがあるので、1型糖尿病の人だけでなく2型糖尿病の人も発症する可能性はあります。

「高血糖」を引き起こすのはインスリン不足?

糖尿病性ケトアシドーシスを起こすほどの高血糖になるのは、多くの場合、インスリンが不足していることが理由です。そのため特に1型糖尿病の人は、インスリン注射を忘れてしまったり、時間や量を間違えて注射をした時に糖尿病性ケトアシドーシスが起こりやすくなります。

それ以外でも、たとえば体調が悪い時など、他の病気が元になっていつもよりもたくさんのインスリンが必要になることがあります。そのような時にはいつもと同じ量のインスリンを注射していても、体の中ではインスリンが不足して糖尿病性ケトアシドーシスになることがあります。

もうひとつの原因は、急激に糖分を大量摂取した時です。体の中に一気に糖分が入ることで、用意されているインスリンの量では足りずに血糖が急激に上がってしまい、糖尿病性ケトアシドーシスの状態になることがあります。

インスリンは医師の指示に従ってきちんと注射しよう!

インスリン注射を使用していると、その日の体調や食事の関係でインスリンが効き過ぎてしまい、低血糖を起こすこともあります。低血糖は手の震えや動悸、冷や汗を引き起こし、重症になると意識を失うこともある危険な状態です。

そういった経験をされた人で、低血糖にならないようにという理由でインスリン量を減らしてしまうことがあるようですが、自己判断でインスリン注射の量を減らしたり、インスリン注射を中止してしまうことは非常に危険です。自己判断でインスリンの量を変えると、糖尿病性ケトアシドーシスを起こす可能性が増えて、重篤な高血糖状態になってしまう恐れがあります。

血糖値のコントロールは非常に難しいので、自己判断で変更することは避けましょう。もしも低血糖を起こすことが多く、インスリンの量の調節を行いたいと思った時には必ず主治医に相談をするようにして、自己判断でのインスリンの量の変更はしないようにしましょう。

おわりに:投与量や時間を守り、糖尿病性ケトアシドーシスの発症を防ごう

インスリンの投与量を守っていても、その日の体調によっては効きすぎたりすることもあります。ただし、だからといって投与量を勝手に変えてしまうと、糖尿病性ケトアシドーシスの発症リスクは上がってしまいます。必ず医師の指示どおりの量、時間を守るようにしてください。

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