記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脳に向かう動脈が詰まってしまうことで、血流を補うために複数の細い血管が発生する「もやもや病」。このもやもや病を発症すると、いったいどんな症状があらわれるのでしょうか?経過や日常生活での注意点と併せて解説していきます。
子供のもやもや病の場合には、それが原因で頭痛や気を失う発作などを起こします。他にも、力が抜けてしまう脱力発作やけいれんを起こすこともあります。これらの症状は大きな息を短い時間に繰り返す時に起こります。熱いものをふーふーと冷ましている時や、口で吹いて楽器を演奏している時、走った時などです。症状がさらに悪化していくと麻痺や知能低下を起こすこともあります。
大人のもやもや病の場合には、およそ半数が脳出血を起こすことで病気が発覚します。残りの半数は子供の場合と同じような症状がでます。脳出血を起こすと突然激しい頭痛がして、意識がなくなったり、麻痺が出る、しゃべりにくくなるといった症状がでます。この場合には緊急の対応が必要です。脳の血流が悪くなる部位によって色々な症状がでますが、中には注意力や記憶力の低下といった症状が出ることもあります。
もやもや病の、脳血管の閉塞のスピードには個人差があります。最初に発症した時と何年も同じような状況の人もいれば、徐々に血管の閉塞が進行していく人もいます。これは予測できるものではないので、発症した後には定期的に検査を受けて病状の進み具合を確認する必要があります。
もやもや病を発症した人の7割ほどは、適切な治療と管理を受けることで普通の人と同じような生活が送れています。しかし脳出血を起こした場合などは、麻痺や言語障害などの後遺症が残ってしまう人もいます。特に子供の時に発症すると後遺症が残ってしまうだけでなく、頭痛などの症状により通学が困難になることがあります。大人の発症者の中には、記憶力や判断力の低下といった症状が見られることで、仕事に就くのが難しい状況になることがあります。
もやもや病のお子さんがいる場合には、保護者や周りの大人が気をつけなければいけないことがあります。それは、子供が過呼吸の状態になって発作を起こさないよう、予防することです。注意が必要なのは、泣いた時、ピアニカや笛などの楽器を演奏した時、熱いものを冷ますなどふーふーと息を吹きかける時、運動会の応援などで大声を出す時、走った時などです。これらの機会を無くすことで、発作を予防しましょう。
なお、発作が起きた時には発作時間を計測して、発作による麻痺などが起こっていないかを確認します。発作の内容によっては気付きにくいものもあるので、発作を見逃さないように気をつけ、大きな発作の場合には救急車を呼びましょう。発作を繰り返すことで脳の機能障害が大きくなり、後遺症が強く残ってしまうことにつながるので、発作はできるだけ少なくなるように努めてください。幼稚園や学校に通っている場合には、保育士や担任の先生にもやもや病であることを伝え、対処法も知らせておきましょう。
たくさん呼吸が必要なときなどに、発作のリスクが高まるもやもや病。発作を繰り返すことで後遺症が残ってしまう恐れがあるので、発作が起こりやすい状況などをしっかり把握することが大切です。