記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/12/12
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
よくある目のトラブルが近視ですが、中には乱視を持っている方も少なくありません。では、この乱視はどのように矯正していくのでしょうか?以降で解説していきます。
遠視や近視は見るものの距離によって見え方が違いますが、乱視とは、距離に関係なくピントがボヤけてしまう状態のことです。簡単に言うと、どこにもピントを合わせることができない状態です。乱視の目は明るさによって見え方が違い、暗いところでは見えにくいという特徴があります。暗いところでは瞳孔が広がり、光を広い範囲から取り込もうとします。そうすると網膜でも広がり、ピントがズレているとぼやけが大きくなります。
乱視は、主に正乱視と不正乱視の2種類に分けられます。
まず正乱視は、角膜や水晶体の表面が一方向に向かって曲がっており、屈折力が縦と横で違うために焦点を一点に合わせられない状態です。考えられる原因は主に角膜の歪みですが、ほとんどの場合は近視や遠視が合わさって起こります。一方向はしっかり見えますが、他の方向はぼやけて見えます。
一方、不正乱視はケガや炎症により、角膜や水晶体の表面がでこぼこに歪んでいるのが特徴です。
乱視を矯正する方法は、主にメガネとコンタクトレンズを使用することです。メガネで矯正する場合は円柱レンズというのを使用します。ほとんどの方に有効ですが、症状の強い方の場合、メガネにすると地面が歪んで見えてしまう場合もあるので、メガネでの治療には限界があります。
コンタクトレンズで矯正する場合は、ハードコンタクトレンズを使用します。ソフトコンタクトレンズでは角膜の歪みに合わせてレンズも一緒に歪んでしまうからです。最近では乱視専用のソフトコンタクトレンズが販売されていますが、強い乱視の方の場合、完全に矯正するのは難しいです。そのためしっかりと矯正したい場合はハードコンタクトレンズが無難です。
また、自宅でできる簡単な目のトレーニングなども有効です。目を水平方向に動かしたり、縦方向に動かすトレーニングが効果的です。これらのトレーニングは毎日継続することでが大切になります。トレーニングだけで改善される場合もあるのでおすすめです。
乱視の手術の種類は主に3つあります。LRI、専用レンズを使用した白内障手術、レーシック手術です。
まずLRIは通称、角膜輪部減張切開術といいます。角膜の縁に小さい切開を施して角膜の歪みをとる治療法です。完全に治すことはできませんが、裸眼の視力を向上させます。
次に、専用レンズを使用した白内障手術は、特殊なトーリック眼内レンズを使用します。このレンズを白内障手術の際に使用すると、乱視を軽減させることができます。
最後に、レーシック手術は通常、近視や遠視を治すために行う手術ですが、乱視の場合も治すことができます。レーシック手術では角膜にレーザーを当てて、角膜の形を変えて屈折力を調整して視力を回復させます。基本的に症状の強い方でも手術を受けることができますが、レーシック手術は健康保険適応外のため費用が高額になってしまいます。
乱視の矯正・治療方法には、メガネ、ハードコンタクトレンズ、手術などさまざまな手段がありますが、重症度に応じて適した治療法は異なっていきます。それぞれメリットやデメリットは異なるので、医師と相談した上で、自分に合ったものを選びましょう。