記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/25 記事改定日: 2020/1/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
鼻茸(はなたけ)とは、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が原因で発症する鼻粘膜の腫瘤のことです。手術で切除することが一般的な治療になりますが、薬での治療が試みられることもあります。
この記事では、鼻茸の薬を使った治療について解説しています。
鼻茸とは、鼻の穴の奥にある副鼻腔の粘膜にできる膨らみ(腫瘤)のことです。粘膜にキノコが生えるように見えることから「鼻ポリープ」とも呼ばれています。
鼻茸は、鼻や喉に関する他の病気の「合併症」として起きることが多いです。たとえば、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)やぜんそく(気管支喘息)、アレルギー性鼻炎などと併発します。粘膜が炎症を起こし、そこに細菌などが繁殖して腫瘤ができ、進行してどんどん大きくなることで鼻茸になっていきます。
鼻茸が小さいサイズであれば自覚症状が出てこないでしょうが、大きくなると鼻の穴の空気の通り道をふさいでしまい、鼻呼吸がしにくくなります。
呼吸がしにくくなれば、気になって集中力が欠けやすくなるでしょうし、気分も落ち込みがちになることもあるでしょう。日常生活に影響が出てくるようであれば、病院での治療を検討したほうがいいかもしれません。
でき始めの初期の鼻茸であれば、薬物治療でも効果が期待できますが、呼吸困難になるほど大きくなっている場合は手術で取り除きます。ただし、手術をしても再発することが多いため経過観察が必要であり、再発がみられる場合は再手術になることもあります。
鼻茸の多くはアレルギーが原因で引き起こされるため、治療にはアレルギーを抑えるためのステロイド剤の点鼻薬や内服薬が用いられます。また、副鼻腔炎などの炎症による病気が原因の場合には、それらを改善するための抗生物質や炎症を鎮める作用のある薬が使用されます。
しかし、これらの薬物療法は効果が現れるまで時間がかかることも多く、重症な場合には薬のみで治すことは困難です。このため。内視鏡手術などで鼻茸を切除する治療が必要になることも少なくありません。
漢方薬で鼻茸を直接小さくすることは難しいです。鼻茸の漢方治療は「鼻茸の原因になっている病気」を改善することで、鼻茸をが小さくする、これ以上悪化しないようにすることを目指します。
鼻茸の原因となった病気が、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)である場合は、「辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)」「葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)」「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)」といった漢方薬が使われる場合があります。
鼻茸は初期のことであれば薬で治せることもありますが、ある程度大きくなったものは手術をせずに治すことは非常に難しいです。
鼻茸の治療方法については、担当の医師と相談のもと薬の服用もあわせて納得のいく治療方法を選択するようにしましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。