レイノー病改善に効果が期待される漢方薬とは?

2018/5/11

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

手足の指先の冷えや、変色を引き起こす「レイノー病」。このレイノー病を改善するには、漢方薬でのアプローチが有効と考えている医療機関もあります。以降では、レイノー病に効果が期待される漢方薬の種類や注意点などについてご紹介していきます。

レイノー病について

レイノー病は、特に原因となる疾患がないのにレイノー現象が引き起こされる病気です。普段、動脈は生活環境の変化に応じて、拡張や収縮を繰り返していますが、何らかの原因で収縮が過剰になると、手足の指先の血流が減少し、冷えを感じたり、皮膚の色が変わったり(紫がかったり、青みがかったり、赤くなったり)、痺れを感じたりします。

この動脈の収縮が過剰になる原因としては、全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群などの膠原病が関係している場合もありますが、レイノー病の場合はそういった原因疾患が特定できません。おそらく、温度の急激な変化や精神的ストレスが原因と考えられています。

漢方医学におけるレイノー病の解釈とは?

漢方医学において、レイノー病は「瘀血(おけつ)」が深く関係していると解釈されています。瘀血とは漢方医学特有の概念ですが、「血(けつ:全身の組織や器官に栄養を与えるもの。西洋医学でいう血液とほぼ同義)」の滞りや、「血」が漏れ出てしまっていること、それにより引き起こされる不調のことを意味しています。

「血」は細胞のエネルギーである酸素や栄養を届ける役割を担っています。そのためその流れが滞ると、全身の細胞が正しく働かないことにつながり、ひいては様々な不調が引き起こされやすい状態だと考えられます。具体的な不調の例としては、肌の暗色化や硬化、局所的に現れる痛みなどが挙げられます。ちなみに、生理不順や生理痛も、漢方では瘀血として捉えられます。

レイノー病の改善に効果的な漢方薬

レイノー病は、漢方医学では「瘀血」が関係していると解釈されているため、この瘀血を治療することが、レイノー病の基本的な治療方針となります。瘀血を治療するには、「当帰(とうき:血の循環を活性化する作用があるとされる)」「田七人参(でんしちにんじん:血流を改善する効果があるとされる)」「牡丹皮(ぼたんぴ:血中の熱を冷まして生かす作用があるとされる)」などの活血(血を活発にする)作用のある漢方薬が処方されることが多いです。

また、漢方医学では血の流れは「気(目には見えない生命エネルギー)」の力によるところが大きいと言う考えがなされています。そのため、瘀血が起きているということは、「気」の力も不足していると考えられており、瘀血を解消するためには「気」を補う作用がある漢方薬が使用されることも多いです。こうした漢方薬は「補気薬」と呼ばれており、「人参(にんじん:体を温め、新陳代謝を促して胃の不調を改善する作用があるとされる)」「甘草(かんぞう:緊張を緩和させる作用があるとされる)」などがこれに該当します。

さらに、瘀血の解消には、不足している血の量を増やすことも重要であるという認識から、補血作用が期待できる「芍薬(しゃくやく:血管の働きを順調にする作用があるとされる)」なども効果的だと考えられています。

漢方薬の服用に関する注意点とは?

西洋薬は、病気の原因を直接解消するための作用をもたらします。一方の漢方薬は、病気の原因となっている体の状態に働きかけるため、その作用は非常に穏やかなのが特徴です。そのため、レイノー病の治療に際して漢方薬を利用するのも、体に負担がかかりにくい点がメリットです。

ただし、どの漢方薬を使うのが適切かと言うのは、その人の元々の体質や現在の体質、体調、顕著に出てきている症状などにより異なります。そのため、「瘀血に作用する漢方薬であれば何でも良い」という考えは絶対にやめてください。自分に合っていない漢方を飲んだ場合には、状態が悪化したり、思わぬ作用が出てくるリスクもあります。漢方薬での治療を考えている場合は、服用前に、必ず医師にその旨を相談することが大切です。

おわりに:漢方のアプローチでレイノー病の症状が改善するケースも!

漢方では、レイノー病は「血」の巡りの悪さがもたらすものと解釈されています。血液循環をよくする漢方薬を利用することで改善が期待できると言われています。なお、漢方の利用も良いですが、レイノー病の原因をしっかり検査するようにしましょう。

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