げっぷや胸焼け、お腹の張りが治らないときは病気なの!?

2018/1/5 記事改定日: 2018/7/19
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

げっぷは、胃に入った空気が逆流して口から出ていくことで起こります。げっぷが出ること自体は自然なことですが、いつまでも止まらない場合は、不調や病気など望ましくない原因が隠れている可能性があります。
この記事では、胸焼けやげっぷの原因について解説しています。特にげっぷを引き起こす病気について詳しく触れているので、参考にしてください。

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げっぷが出るのはどうして?おならとの違いとは?

げっぷとおならのどちらも、その正体は空気です。ご飯を食べるとき、どうしても人は空気も一緒に食べてしまいます。それが食べ物といっしょに胃や腸にいき、腸内で発生したガスと共に「おしりから出てきたもの」がおならで「胃から逆戻りして口から出てきた」のがげっぷになります。

げっぷもおならも、周囲の人を不快にさせる可能性がありますし、できるなら回数を減らしたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
げっぷやおならの回数を減らしたいなら、できるだけ空気を飲み込まないようゆっくりと食べるようにしましょう。また、生唾を飲みこむことも空気を飲み込んでいることになるので、なるべく避けることをおすすめします。またサイダーやビールなどの発泡性のある飲み物を飲むと、胃の中で炭酸ガスの体積が増えてしまい、炭酸ガスが逆流しやすくなるのでげっぷの原因となります。

げっぷは生理現象なので、食後に数回出るくらいなら問題ありませんが、いつまでも止まらなかったり、常にげっぷが出るという場合は、病気や不調がのサインの可能性があるので注意が必要です。

げっぷやお腹の張りが止まらないときは・・・

健康体であれば、胃が溜まった空気をある程度吸収してくれますが、ストレスや食生活の乱れで胃が弱っていたり、何らかの病気で胃の機能が低下していると、空気が吸収されなくなるので胃にどんどん空気が溜まってしまうのです。
また、げっぷは胸やけが起こっているときに出ることが多いです。これは、胃に溜まった空気が胃酸と一緒に上がってくることが原因と考えられます。胃や食道にダメージが蓄積され、ひどいときには胃潰瘍や逆流性食道炎になっている可能性も否定できないでしょう。

いずれにしろ、このまま放っておけば不調はさらにひどくなり、重篤な病気を発症してしまう可能性があります。げっぷが止まらないときは、早めに病院を受診するようにしましょう。

胸焼けやげっぷ、お腹の張りに隠れている病気とは?

げっぷとともにお腹の張りや不快感がある、おならの量も増えている場合は、空気嚥下症の可能性があります。これはストレスやうつ状態などの精神的な原因や、早食いなどの生活習慣が起因して起こるものです。ストレスを溜め込んでいないか、食事のときに空気を飲み込むような習慣(早食いや一口の量が多いなど)がないかチェックして改善するようにしましょう。

明らかな胃の痛みや胸焼けを感じている場合は胃酸過多症になっている可能性があります。カフェインや刺激物の摂り過ぎ、暴飲暴食が原因になりますが、こちらもストレスが原因で発症することがあります。
そして、胸やけやげっぷとともに呑酸(どんさん:口や喉に酸味や苦味がこみあげてくること)がある場合は、逆流性食道炎や非びらん性胃食道逆流症を発症しているおそれがあるので、早めに病院へいくようにしましょう。

逆流性食道炎とは

逆流性食道炎とは、胃の内容物が食道に逆流する病気です。胃の壁からは酸性度の高い胃酸が分泌されており、胃の粘膜は胃酸に耐えられる構造になっていますが、食道の粘膜にはそのような仕組みがないため、胃酸の刺激によって炎症を起こすのです。

本来、食道と胃の境界には筋肉でできた噴門があり、食道から胃へ食べ物が送られたときのみに開く仕組みになっています。しかし、加齢によってこの部位の筋力が低下したり、肥満や消化の悪い高脂肪な食事を多く摂ることで胃の内圧が上がり、胃の内容物が食道へ逆流してしまうことがあるのです。
治療には、食生活や食後すぐに横にならないなどの生活習慣の改善が必要になります。また、食道の炎症による痛みや胸焼け、吐き気などの症状が強い場合には食道の粘膜を保護したり、胃酸の分泌を抑制する薬が使用されることもあります。

胃に異常がないのにげっぷや胸焼けが出る機能性ディスペプシアとは

機能性ディスペプシアとは、内視鏡検査などで異常がないにも関わらずげっぷや胸焼けが生じる病気のことです。
ストレスや暴飲暴食、喫煙、過度な飲酒などが原因と考えられています。また、胃の知覚や運動を司る神経に異常が生じているとの説もあります。

機能性ディスペプシアは器質的な異常がないため、治療が難しいケースが多々あります。症状を改善するには、生活習慣を見直すことも大切であり、高脂肪食を避けて消化のよい食事を心がけたり、喫煙や節酒などが必要となります。また、胸焼けがひどい場合には、少量の食事を小分けにして摂ることも効果的です。

おわりに:胸焼けやげっぷが良くならないときは、胃や心の病気の可能性も。早めに病院に相談を

止まらないげっぷは、胃の不調や病気、ストレスや心の病気が原因になっている可能性があります。どの原因であっても、長患いすることは体にマイナスの影響を与えます。病気を悪化させないためにも、早めに病院を受診するようにしましょう。もちろん、空気が胃に入らないように早食いや暴飲暴食を控えることも大切なので、食べ方には十分に気をつけてください。

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