精神遅滞を発症しやすいのはいつごろ? 原因疾患は何?

2018/1/11

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

精神遅滞とは、認知能力や言語能力、運動能力や社交性などの成熟が遅れていることです。主に知能指数を基準に分類され、様々な病気が引き起こすと考えられています。この記事では、精神遅延を引き起こす原因疾患について解説しています。

精神遅滞はどんな病気なの?

 

精神遅滞、または知的障害とは、物事を認知する能力、言語を理解し話す能力、手足操作などの運動能力、社交性などについて、年齢に応じた精神的な発達が不十分なために支障を来す状態をいいます。

精神遅滞か否かは、知能指数(IQ)によって測定します。100が平均値ですが、70を境界線とし、それを下回れば精神遅滞(知的障害)とされます。

IQの数値などによって「軽度」「中等度」「重度」「最重度」と分類され、おおむねIQ50~69を「軽度」と呼びますがIQだけで分類されるわけではありません。IQ50未満でも、社会への適応能力がそれなりに高ければ「軽度」と認定されます。

有病率は、約1%とされていますが、そのうち精神遅滞者のおよそ85%が軽度で、中等度・重度にまでなるのは、約15%です。精神遅滞者全体の男女比は3:2といわれ、男性がやや多い傾向にあるといわれています。

精神遅滞者の特徴

精神遅滞者は、学校の勉強などを理解するのが苦手だという特徴があります。しかし、苦手で学習に時間がかかるだけであり、理解するのが不可能なわけではありません。努力次第である程度の学業成績を修めることも可能とされています。
経理やマネジメントなどの抽象度が高い仕事より、手足を動かして現場で働く物作り系の仕事で強みを発揮することも特徴のひとつです。

コミュニケーションがたどたどしく、自尊心を持つのが苦手で、他者に甘えやすい性質があり、他人の言うことの影響を疑わずに従い、だまされたり、いじめられやすかったり、他人の命令で悪事を働いたりすることがありますので、周囲の人は十分注意しなければなりません。
また、就職や結婚、育児も能力的に難しい可能性があるので、周囲の粘り強く温かいサポートが求められます。

なお、重度の知的障害に加えて、ほとんど身体を動かせない運動障害も重なっている状態を、特に「重症心身障害」と呼んで区別します。

精神遅滞を好発しやすい時期はいつごろ?

5~6歳ぐらいまでは、よほど重度の場合か、言葉を覚えるのが遅く黙っているような状況でない限り、なかなか発覚しません。おおむね小学生低学年あたりの「発達期」のうちに、同じ年代の子供との言動の差が目に見えて生じるようになり、精神遅滞が発覚するケースが多くみられます。
ただし、精神遅滞の程度が軽いと、思春期になるまで発覚しないこともあり、診断やフォローが遅れる可能性もあります。

精神遅滞の原因疾患と考えられている病気とは?

精神遅滞の要因となる病気には、胎児期の感染症、中枢神経感染症、脳奇形、てんかん、先天代謝異常、染色体異常、神経皮膚症候群など、様々なものがあります。

なお、自閉症や行為障害、身体障害などが「合併症」として現れることもあり、前述の「重症心身障害」も、精神遅滞と身体障害が合併した症状です。幼児期に自閉症などの合併症が先に発見されて、後になって精神遅滞が発覚するケースもあります。

精神遅滞を完全に治すことは非常に難しいですが、精神遅滞が幼児期の早い段階で発見され、長い時間をかけて適切な療育を行えば、将来的には社会生活に不自由がないほどに適応できる望みもあります。

おわりに:全てをサポートするのではなく、自分でできることを増やしてあげることも大切

精神遅滞(知的障害)は、社会的に差別や偏見の目にさらされがちで、悪意を持った者が近づいてくる危険もあります。家族や周囲の人々、あるいは制度的支援は欠かせません。ただし、何から何までサポートするのも本人の自立的意識を傷つけている場合があります。本人が自力ではどうしても達成できない事柄だけを手伝うようにし、自主学習や成長の喜びを感じてもらうように努めましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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