臍(さい)ヘルニアとはどんな病気?大人と子供で原因が違うの?

2018/1/15 記事改定日: 2019/3/13
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

臍(さい)ヘルニアとは、いわゆる「でべそ」のことです。子供にも大人にも起こる可能性がありますが、原因や治療方法が異なる場合があります。この記事では、大人と子供の臍ヘルニアの違いについて解説していきます。

臍(さい)ヘルニアとは?

臍ヘルニアとは、なんらかの理由で臍の部分(おへそ)の筋肉がしっかりと閉じずにいる状態で、へそから腸が脱出した状態のことをいいます。子供に現れた場合は、「でべそ」として扱われます。
ただし、臍ヘルニアは成人した後でも、肥満や妊娠、腹部に水分が過剰に溜まるなどが原因で発症することがあります。

赤ちゃんの臍ヘルニアと大人の臍ヘルニアの原因の違い

赤ちゃんは生まれた後、へその緒が乾燥し自然に取れていきます。そのとき身体のなかでは、へその緒の穴を閉じるように筋膜や瘢痕組織(はんこんそしき)を作り出し少しずつ穴を塞いでいきます。しかし、なんらかの理由でへその緒の穴が塞がれず、隙間から腸が飛び出し臍ヘルニアを発症します。

大人の臍ヘルニアの原因はいくつかあります。生まれつきの臍ヘルニアを放置していたり、妊娠や出産で臍ヘルニアになったり、太り過ぎや腹水が溜まってしまう病気などが原因で臍ヘルニアになることもあります。その他にも、手術で筋膜に隙間ができてしまうことで発症するケースもあります。

臍ヘルニアは治療が必要?

2歳以下の小児の場合は、臍ヘルニアがあってもしばらく様子をみるケースが大半です。これは放置していても約90%は次第に自然に穴がふさがり、でべそに見えなくなることが多いからといわれています。しかし、2歳をすぎると自然に治ることはまれになりますので、手術治療が検討されます。放置していても問題になることは少ないですが、一般的には小学校入学までに治療を行うことが推奨されます。

大人の臍ヘルニアの場合は、生まれつきの臍ヘルニアについては手術で治療をすることがほとんどです。妊娠、出産を経て臍ヘルニアになった人も、お腹が元の大きさに戻ってから手術が検討されます。
一方、太り過ぎや腹水が溜まる病気を患っている場合には、原因の改善が必要になるため、減量や原因になっている病気の治療から先にはじめます。これは手術を行っても再発する可能性が高いためです。

臍ヘルニアの治療方法は?

臍ヘルニアの治療方法は大人と子どもによって異なりますが、それぞれ以下のような治療が行われます。

大人の場合

大人の臍ヘルニアは、肥満・妊娠・腹部の病気による腹水貯留などによって腹腔内からの過度な圧迫が腹筋にかかることが原因となります。

自然に治ることはほとんどなく、治療をするには手術が必要となります。腹直筋を縫合してヘルニアを引き起こす「穴」を塞ぐ手術が行われますが、「穴」が大きい場合などには人工物のメッシュなどが埋め込まれることも少なくありません。また、術式もお腹を切開するものと腹腔鏡を使用するものがあり、全身の状態や「穴」の状態などによって術式が決定されます。

成人の場合は、臍ヘルニアを発症すると腸管がはまり込んで虚血状態に陥る嵌頓を引き起こすことがありますので、原則的には手術が必要となります。

子供の場合

子供の臍ヘルニアは生後間もなくのころに発症しやすく、多くは1~2歳ころまでに自然に治るとされています。
しかし、美容上の観点から臍ヘルニアが気になる場合には、ヘルニア嚢をガーゼやスポンジなどで断続的に圧迫する「臍ヘルニア圧迫療法」が行われます。
一方、2歳頃になっても臍ヘルニアが改善しない場合には腹壁の穴を閉じるための手術が行われることもあります。

おわりに:大きい臍ヘルニアがあるときは、子供も大人もまずは病院に相談しよう!

臍ヘルニアが大きい場合は3歳くらいになっても筋肉の隙間が閉じずに治らなかったり、皮膚がたるんで見た目が悪くなってしまったりして手術が必要になることもあります。近年は、綿球で圧迫して絆創膏で固定する方法など、手術をせずに治療することも可能といわれています。
子供の臍ヘルニアも大人の臍ヘルニアも、大きいときには早めに病院を受診し、適切な治療計画を立ててもらう必要があります。一般的には大きな問題になりにくい病気ではありますが、まれに嵌頓(かんとん)が起こり重症化するおそれがあるので、大きい臍ヘルニアがあるときは早めに病院で検査してもらいましょう。

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