肺アスペルギルス症はどうやって治療するの?手術の流れは?

2018/1/19 記事改定日: 2018/11/27
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

肺アスペルギルス症は、アスペルギルスというカビの仲間(真菌)に感染することで発症する病気です。健康体であれば、通常は吸い込んでも発症することはありません。今回は肺アスペルギルス症の原因と、治療や手術、予防の方法について解説していきます。

肺アスペルギルス症はどんな病気?

肺アスペルギルス症とは、アスペルギルスという微生物の出す胞子を吸い込むことによって、肺に感染症を起こす病気です。
アスペルギルスは真菌(カビ)の一種で、室内の空気中にも多く混ざっているため避けられない真菌ですが、通常は吸い込んでも肺アスペルギルス症を引き起こすことはありません。

肺アスペルギルス症は、薬や体調不良によって免疫力の弱っている人や、もともと肺に空洞のあった人、アスペルギルス真菌にアレルギーのある人が発症するとされています。
症状としては、発熱や胸痛、血の混じった咳と痰、呼吸困難などが挙げられます。

肺アスペルギルス症の種類別の治療法とは?

肺アスペルギルス症の病態は大きく3種類に分けられ、病態によって治療方法も異なります。
以下からは、肺アスペルギルス症の病態ごとの主な治療方法についてご紹介していきます。

肺アスペルギローマ

最も一般的な肺アスペルギルス症の病態で、過去の病気によってできた肺の空洞にアスペルギルスが感染するものです。
感染したところに菌糸や血液でできた球状のかたまり(アスペルギローマ)ができ、これがどんどん大きくなることで肺や呼吸器を圧迫し、破壊することで症状が出ます。
この病態の場合は、手術でアスペルギローマを除去するか、抗真菌薬による治療をしていきます。

侵襲性アスペルギルス症

肺アスペルギローマから症状が進行し、血流によって肺以外の腎臓や肝臓、心臓、脳など他の臓器にまで菌の感染が広がった状態を指します。
通常、肺や呼吸器以外の臓器にまで感染が及ぶことはほとんどありませんが、病気治療や臓器移植後など、著しく免疫機能が落ちているときに引き起こされます。
この病態には投薬治療を行うのが一般的で、ボリコナゾール、イサブコナゾール、ポサコナゾール、イトラコナゾールなどの抗真菌薬で感染を抑えていきます。なお、他にも慢性進行性肺アスペルギルス症という病態もあり、侵襲性アスペルギルス症よりは進行や症状は緩やかです。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症

気管支喘息(きかんしぜんそく:喘息)など、もともと呼吸器系のアレルギー疾患のある人が、アスペルギルス真菌にアレルギー反応を起こすものです。症状は喘息に似ていて、咳や呼吸困難、発熱、共通などが現れます。
この場合は、前述した抗真菌薬に加えて、ステロイド服用による投薬治療をメインに行っていきます。

肺アスペルギルス症の手術の流れ

肺アスペルギルス症は病巣が一部に限局している場合には、手術による切除が行われることがあります。基本的には、体への負担が少ない胸腔鏡を用いた手術が行われますが、病巣が大きかったり、胸腔鏡では切除しにくい部位にある場合は、開胸手術が行われることもあります。

胸腔鏡手術では、胸部にいくつかの穴を開けて手術器具やカメラを挿入し、病巣を切除します。このため、傷口は器具を挿入する部位数か所のみですので、非常に負担が少ない手術です。一方、前胸部を大きく切開して胸骨を切る開胸手術は体への負担が大きく、術後の回復も遅くなります。胸腔鏡手術は1~2週間程度で退院できるケースが多いですが、開胸手術の場合には1か月ほど入院が必要になるケースが一般的です。

肺アスペルギルス症を予防する方法はある?

肺アスペルギルス症は、環境中に存在するアスペルギルスを吸い込むことで感染し発症します。アスペルギルスは自然環境中に多く存在しており、特に秋から冬にかけて感染する機会が多くなります。

しかし、通常の免疫力がある人であれば、アスペルギルスを吸い込んだとしても免疫力が勝って感染が成立することはありません。このため、十分な休息や睡眠を取って、適切な食生活・運動習慣を身につけるなど生活習慣を調えて免疫力を高めることが肺アスペルギルス症の予防につながります。
また、免疫力が低下しがちな高齢者や基礎疾患のある人などはなるべく埃を吸わないようにし、室内は清潔な状態を維持するようにしましょう。

おわりに:肺アスペルギルス症は予防&治療できる!重症化する前に病院へ

肺アスペルギルス症の治療と予防には、医師の診断と指示が欠かせません。血の混じった咳や痰、胸痛が出たら感染している可能性があるので、できるだけ早く病院に行って検査を受けて、病態に応じた治療を受けましょう。

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