女性ホルモン剤による治療の効果と副作用について

2018/1/25

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

更年期障害は、女性ホルモンの分泌量が減ってしまうことで発症します。そこで近年、女性ホルモンを補充するホルモン補充療法(HRT)が注目されています。この記事ではホルモン補充療法(HRT)の効果と副作用について解説しています。

女性ホルモンはどんな働きをするの?

女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、毎月の周期で卵巣から分泌されています。大脳の視床下部や脳下垂体が分泌をつかさどり、エストロゲンは子宮内膜に働きかけ内膜を厚くするほか、排卵を促す作用を持ち、プロゲステロンは子宮内膜が受精卵の着床を受けられるような準備を促す作用や、着床後に妊娠を維持する作用を持ちます。普段の月経周期だけでなく、女性の妊娠にも関わっているのがエストロゲンとプロゲステロンなのです。

これらのホルモンバランスが崩れれば、生理不順や無月経を引き起こす可能性があります。ホルモン分泌をつかさどる視床下部は、ストレスの影響を受けやすいのでストレスをため込み過ぎないように普段から生活習慣に気をつけることが大切になってきます。

更年期障害のホルモン補充療法(HRT)と使用される薬剤について

一方女性ホルモンの分泌は、20代をピークに40代以降で減少していきます。それに伴い、のぼせやイライラ、体の重さ、冷えなどが出現するのが「更年期障害」です。
更年期障害の症状緩和と女性ホルモンの充填を行うのがホルモン補充療法(HRT)です。体内にエストロゲンとプロゲステロンの2種類を投与します。本来であればエストロゲンのみの投与でもよいのですが、不正出血や子宮体癌の発生リスクが高まる可能性があるため、子宮のある人では定期的に月経様の出血を起こすために同時にプロゲステロンを投与します。

HRTの効果&副作用と注意点を知ろう

 

HRTは、ほてり、のぼせ、動悸、息切れなど血管運動神経症状に効果を期待できます。また、イライラや不安、脱力感の改善する効果があるとも考えられています。その他、動脈硬化や骨そしょう症の予防、美肌効果などが見込めます。ただ、効果を実感できるまでの期間には個人差があるので留意しておきましょう。

一方で、HRTの副作用として、乳房の張りや痛み、出血が起こる可能性があります。これらは使用を続ければ徐々に治まることも多く、もし症状が治まらなければ、ホルモン量の調整などで対応することもできます。また、ホルモン剤の最も重大な副作用が血栓症(血管内で血栓ができ血液の流れを止めてしまう)です。ふくらはぎの腫れ、むくみ、胸の痛み、頭痛などの症状が現れた場合にはただちに使用を中止してください。
また、2009年に以下の方にはHRTを使用できないと定められています。

・重度の肝臓疾患のある方
・乳癌やその既往のある方
・原因の分からない性器からの出血
・妊娠の可能性がある方
・血栓性静脈炎や血栓塞栓症その既往のある方
・冠動脈疾患の既往のある方
・脳卒中の既往のある方

該当される方は、別の対応を医師とご相談ください。

おわりに:医師と相談の上、HRTを使用しましょう

女性を悩ませる「更年期障害」は、女性ホルモンの影響を受けていることをお伝えしました。有効な治療法であるHRTですが、その副作用や注意点も多くあるので医師と相談の上、慎重に治療方法を選びましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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