ホルモン補充療法(HRT)には、どんな効果や副作用があるの?

2018/1/25 記事改定日: 2019/6/11
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前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

更年期障害は、女性ホルモンの分泌量が減ってしまうことで発症します。そこで近年、女性ホルモンを補充するホルモン補充療法(HRT)が注目されています。この記事ではホルモン補充療法(HRT)の効果と副作用について解説しています。

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女性のホルモン補充療法(HRT)の効果と副作用とは?

ホルモン補充療法(HRT)の効果には個人差はありますが、更年期特有の症状である、ほてり、のぼせ、動悸、息切れなど血管運動神経症状に効果を期待できます。
また、イライラや不安、脱力感の改善や、動脈硬化や骨粗鬆症の予防、皮膚の老化からくる肌トラブルや腟の乾燥からくる性交痛などの効果が期待できます。

副作用として、乳房の張りや痛み、出血が起こる可能性がありますが、一般的には一時的なものであり、徐々に治まることも多いです。もし症状が治まらなければ、医師に相談してホルモン量の調整してもらいましょう。

ただ、ホルモン剤には血栓症(血管内で血栓ができ血液の流れを止めてしまう)の副作用が起こることがありますので、ふくらはぎの腫れ、むくみ、胸の痛み、頭痛などの症状が現れた場合にはただちに医師に相談してください。

また、以下の方にはHRTを使用できません。

  • 重度の肝臓疾患のある方
  • 乳がんやその既往のある方
  • 原因の分からない性器からの出血
  • 妊娠の可能性がある方
  • 血栓性静脈炎や血栓塞栓症その既往のある方
  • 冠動脈疾患の既往のある方
  • 脳卒中の既往のある方

女性の更年期障害のホルモン補充療法(HRT)では、どんな薬がつかわれるの?

女性の更年期障害に対するホルモン補充療法(HRT)では次のような薬が使用されます。

エストロゲン単剤

女性ホルモンの一種であるエストロゲンのみが含まれた薬です。エストロゲンの補充は更年期障害の諸症状を改善するのに非常に有用な治療法ですが、子宮体がんを誘発することがあるため、エストロゲン単剤での治療は手術で子宮を摘出した既往のある人に限られています。
また、飲み薬や貼り薬、塗り薬が販売されていますので、好みに合わせて選択することが可能です。

エストロゲン・プロゲステロン合剤

二種類の女性ホルモン、エストロゲンとプロゲステロンが配合された薬です。エストロゲンの補充による症状改善効果を得ながらも、子宮体がんの発症リスクを軽減するために子宮内膜の増殖を抑えるプロゲステロンが配合されています。飲み薬と貼り薬が販売されています。

おわりに:ホルモン補充療法(HRT)は医師に十分説明を受けたうえで始めよう

ホルモン補充療法(HRT)には、副作用があり、効果の出方にも個人差があります。治療を開始する前にメリットとデメリットの両方を説明してもらい、納得したうえで意思決定をしましょう。
また、副作用と思わしき症状がある場合や、効果の出方に不安がある場合は、薬の種類や量を変えることで解決することもありますので、担当医に相談してみてください。

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