更年期障害に効果的な漢方薬とは!?症状改善するにはどうすればいい?

2018/1/25 記事改定日: 2018/4/23
記事改定回数:1回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

更年期障害は、女性ホルモンの減少によってほてりやのぼせ、強い冷えといった身体症状や、集中力の低下や不眠といった精神的な症状があらわれるものです。こうした症状を漢方薬で改善する場合、どのような選択肢があるのかについて解説します。

更年期障害を漢方医学の視点ではどう考える?

漢方医学の考え方によると、更年期障害であらわれるさまざまな症状は、血のめぐりの悪さや気の乱れが原因と考えられています。漢方医学でいう病は「気」「血」「水」のバランスが崩れることで起こるとされ、更年期障害の諸症状は「気」と「血」の不調が原因と考えられています。

頭痛や肩こり、冷えなどは、血流が滞る「瘀血(おけつ)」によって生じ、めまいや耳鳴り、集中力の低下や不眠といった症状は血が不足する「血虚」で、ホットフラッシュや発汗、頭痛や動悸、イライラなどは気の流れに異常が起こる「気逆」から発症すると考えられています。気逆は瘀血に伴って起こる過緊張状態とされ、血や気を補ってめぐりを改善することで、さまざまな不快な症状の緩和に繋がると考えられています。

症状

更年期障害は、閉経前後5年ほどの間に女性ホルモンの減少によって起こるさまざまな心身の症状を指します。更年期は、おおよそ45歳から55歳の10年間に来ることが多く、この頃から卵巣機能に低下から女性ホルモンの分泌低下が始まります。月経周期は短く不定期になり、やがて停止します。

身体的な症状として、突然体がほてったりのぼせたりするホットフラッシュ発汗動悸息切れめまい頭痛肩こり冷えなどがあります。また、精神的な症状としてイライラ不眠集中力の低下憂うつなどもみられます。

これら心身両面の症状が日常生活に支障が出るほどになった場合、更年期に関係するホルモンを調べる血液検査を行って更年期障害かどうかを判断します。

更年期障害の治療に使われる漢方薬と効果

更年期障害に処方される漢方薬で代表的なものでは加味逍遙散(かみしょうようさん)があります。体力中等度以下で、のぼせや肩こりのほか、イライラや不安といった精神的な症状にも効能があるとされます。
簡単には、「なんとなく調子が悪い、様々な症状が現れては消える」場合に用いるのがよいでしょう。

  • 温経湯(うんけいとう)・・・ホルモンバランスを整える作用があるとされ、手足のほてりや不眠にも良いとされます。
  • 五積散(ごしゃくさん)・・・冷えが強い人の更年期障害に効能があり、桂枝茯苓丸も冷えで滞った巡りを改善することに効能を発揮します。
  • 温清飲(うんせんいん)・・・のぼせの症状や皮膚の乾燥にも効き目があります。
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくさん)・・・虚弱体質で冷えやすく、貧血の傾向がある人の更年期障害を緩和すると言われます。

ただし、漢方薬は体質によって処方が変わるため、効能を生かすためにも漢方医による脈診等の診察を受けた上で処方してもらうことをおすすめします。

更年期障害に効果があるとされるOTC市販薬とは

婦人科や内科で更年期障害の治療は主にホルモン治療と諸症状を改善させるための対症療法が行われます。これらの治療で使用される薬は医師の処方が必要であり、薬局やドラッグストアなどで購入することはできません。

しかし、更年期障害に悩んでいる人でも、病院に行く時間がない人や病院に行くほどの症状ではないという人もいるでしょう。そのような人のために、漢方や生薬が含まれた市販薬が広く販売されています。

また、女性ホルモンと同様の作用を持つとして注目されているイソフラボンが含まれたサプリメントも多く流通しており、常用している人も多いと思います。
しかし、これらの市販薬やサプリメントは、あくまで体質改善などによって症状を緩和させる効果が期待できるにすぎません。1~2か月続けてみても効果が実感できない場合は、使用を止め、病院での検査・治療をおすすめします。

更年期障害は悩みすぎないことも大切。食生活を見直すことから始めよう

更年期障害がある時期はつらく、気持ちも落ち込みますが、いつかは症状が治まることを意識して悩み過ぎないことも大切です。

更年期障害の症状は、冷えによってめぐりが悪化すると症状がひどくなるといわれているので、生活や睡眠のリズムを整えたり、気分が乗らなくても運動して血液循環を促すように心がけましょう

食べ過ぎに注意しつつ、栄養バランスのとれた食事を摂り、趣味などの楽しい時間を持ったり、ゆっくり入浴するといったリラックスタイムを持つこともおすすめです。食事はホルモンや自律神経を整えるのに効果があるメニューが良いとされますが、冷え性の人は特に、夏野菜など冷えを招く食材を避け、ショウガやネギなど身体を温める食材を取り入れることも大切です。

更年期の症状改善におすすめの運動とは

更年期障害では女性ホルモンの急激な減少によって様々な症状が起こりますが、その中に高脂血症や高血圧などの生活習慣病があります。これらの生活習慣病はそのままにしておくと将来的に動脈硬化を引き起こし、脳卒中や心筋梗塞などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。また、女性ホルモンの減少によって骨粗しょう症が引き起こされることも知られており、将来的には骨折のリスクにつながります。

運動は、これらのリスクを軽減することが役立ちます。運動によって適度なカロリー消費を行うことで高脂血症や高血圧の改善が期待でき、骨の代謝を改善し骨密度の低下を防ぐことができるのです。
また、運動はストレス解消やリラックス効果もあり、抑うつ気分になりやすい更年期障害の人には精神面でも効果があります。

更年期の症状を改善するための運動としておすすめなのは、ウォーキングや水泳、ストレッチなどの有酸素運動です。有酸素運動は体に過度な負担をかけずに確実に脂肪細胞を燃焼させる効果があり、生活習慣病の改善によいとされています。ほかにも社交ダンスやゴルフなど、年齢を重ねても趣味として続けられる運動もおすすめです。

おわりに:自分に合った漢方薬を処方してもらうことが大切

更年期障害の漢方薬には市販薬もありますが、体質に合わないなどのトラブルが起こる可能性もあります。自分の体調や状態にあったものを選ぶためにも、自己判断で服用せず、漢方医の診察を受け、適切な漢方薬を処方してもらいましょう。

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