記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
汗は体温調節の働きだけでなく、老廃物を排出する働きも担っているため、汗の臭いは体の状態によって変化します。急に汗の臭いや体臭が気になってきたという場合は、もしかしたら病気が隠れているかもしれません。この記事では、汗の臭いと病気の関係性について解説しています。
1日1リットルも汗をかいていると言われており、夏や運動をする人は多いときで3リットルほどになるとも言われています。汗をかくことは体にとって大切なことで、体温を調節したり、体の中の不必要な老廃物を排出するなどの役割を担っています。
しかし、社会生活を営むなかでは、汗の臭いは大きな悩みのもとになることがあります。他人には話しづらいデリケートな悩みのため、ひとりで抱え込んでしまい心が不安定になってしまうケースもあります。
汗の臭いが気になるという人は、もしかしたら病気が潜んでいるかもしれません。
糖尿病の人は、肝臓が中性脂肪を分解して脂肪酸をつくり、そのときにケトン体というエネルギー資源を合成します。ケトン体が汗にも混じると、ケトン体の特徴でもある甘酸っぱく、果物がくさったような臭いがしてくることがあります。もし、体臭が甘酸っぱくなったように感じていたり、周囲からそのように指摘されたことがあるという人は、一度病院で検査してもらいましょう。
その他にも、肝機能が低下していると、アンモニアの分解能力が低下し、分解されなかったアンモニアは血中から汗となって汗が臭うことがあります。また、腐敗臭がする場合は、胃腸の機能が低下している可能性があります。胃腸の機能が低下したことで、食べたものを消化する能力が低下し、消化しきれなかったものが腸内で腐敗してしまうことで、イオウのような臭いがするガスを発生することがあります。このガスが血中へと流れ込んで、汗として排出されるると、イオウの臭いがする汗になることがあります。
加齢臭は、中高年以降に発生するもので、ろうそくや古い本のような臭いがすると言われています。年齢を重ねたことで、皮脂腺のなかのパルミトレイン酸や、過酸化脂質という物質が増加します。
これが結びつくと、加齢臭の原因となっているノネナールができてしまうのです。これは高血圧や、血管内の悪玉コレステロールの増加と深く関係していると考えられています。加齢臭は生活習慣病と深く関係している可能性がありますので、急に汗の臭いがきつくなったり、加齢臭がひどくなったと感じた場合は、生活習慣病の検査をしてもらうことをおすすめします。
汗の臭いはデリケートな悩みのため相談しづらい内容ですが、糖尿病や肝機能障害、胃腸障害、高血圧など、汗の臭いや体臭に影響を与える病気もあります。急に体臭がきつくなったり、汗の臭いが不快になってきた場合は、念のためも病院で検査してもらいましょう。そして、臭いに関しては「気にしすぎ」という可能性もあります。自分の臭いが正常かどうか、専門医などに相談し、適切なアドバイスをもらうことをおすすめします。