記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2025/2/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脱水症は子どもや高齢者に起こりやすく、重症化すると命に危険が及ぶこともあります。脱水症は、夏だけなく冬もなる可能性があるので注意が必要です。この記事では、高齢者が脱水症になりやすい理由と症状の特徴、対処法・予防対策について解説しています。
高齢者は若年者と比べて体内(細胞内)の水分量比率が少ないです。いわゆる「若い世代の人」が60%程度の体液量であるのに対して高齢者は50~55%程度しかありません。高齢者は、加齢により熱放散能力が低下していて深部体温が上昇しやすく、汗腺の衰えていない部分から集中的に大量の汗をかくようになるので、脱水症になりやすいといわれています。また、高齢者になると喉の渇きを感じる口渇中枢が衰えます。喉の渇きを感じにくくなることで、水分が必要なタイミングで十分な水分摂取ができなくなることも、高齢者が脱水症になりやすい原因になります。なお、以下も高齢者が脱水症になる原因になることがあります。
以下の症状が現れているときは、脱水症になっている可能性があります。放置して重症化すると、深刻な状態に陥る恐れがあるので注意が必要です。
高齢者に脱水の症状が見られた場合は、まず水分を補給することが大切です。脱水で失われた電解質を補給するため、なるべく経口補水液で補給するようにしましょう。重度の脱水症に陥っている場合や吐き気などの症状で水分を補給できない場合、水分を補給しても症状が改善しない場合は、早急に医療機関を受診しましょう。救急車を要請してもかまいません。
一般的な成人の場合は1日2.5リットルの水分補給が必要とされていますが、高齢者の場合は必要量を飲みものだけで補うことが難しくなります。高齢者の脱水予防で大切なのは、食事に汁物を必ずつけたり、水分量の多い食事を摂ったりするなどして食事から水分を摂ることを心がけるということです。また、汗をかいていないときや動いていないときでも、意識して水分をこまめに摂るようにしましょう。理想は1時間に100ml程度とされているので、食事以外にもお茶の時間を作ったり、すぐに水分がとれるように手元に水分を置いておいたりするなど、水分がとりやすい環境を整えておくようにしてください。入浴中や就寝中は、想像以上に脱水が進んでしまうことがあるため、入浴前後や就寝前後にもコップ1杯分の水分を摂るようにしましょう。
高齢者は加齢の影響で脱水が進行しやすく、脱水症になったことを自覚しにくいといわれています。日ごろから意識して水分補給をするようにして、脱水予防を心がけることが大切です。家族に高齢者がいる場合は、家族全員で脱水予防に気をつけるようにし、脱水症の症状に気づいたときはすぐに対処できるように備えておきましょう。