予防接種と飲酒の関係 ― 接種した日に飲酒しても大丈夫?

2018/4/25

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

予防接種をした日や前日に、お酒を飲んでも大丈夫でしょうか?今回の記事では予防接種と飲酒の関係性やリスクについて、詳しく解説します。

予防接種当日の飲酒はダメ?

厚生労働省が定めるガイドラインには「予防摂取当日はいつも通りの生活をしてもかまいませんが、激しい運動や大量の飲酒は避けましょう」と記載されています。

このように、厚生労働省が予防接種当日の飲酒を制限する理由は、以下の2点です。

  • 予防接種後すぐは、ワクチンの作用によって体調が変化しやすくなっているから
  • 予防摂取後24時間以内は「副反応」が出やすいから

一般的に、予防接種後24時間は身体が弱り、体調変化が起こりやすいとされています。

予防接種の当日、24時間以内の飲酒をしてはいけないわけではありませんが、大量の飲酒は危険であり、いつもより飲む量を意識的に調整する必要があると覚えていてください。

予防接種後に大量飲酒がいけないのはなぜ?―「副反応」とは

予防接種による副反応とは、予防接種を受けた人のうち10~20%ほどに、24時間以内に現れると言われる副作用の一種です。予防接種による副反応の代表的な症状には、以下のようなものがあります。

予防接種した部位に、局所的に現れる副反応

  • 注射箇所とその周辺の腫れ、赤み、痛み、かゆみ

予防接種が原因で、全身に現れる副反応

  • 頭痛、発熱、倦怠感、寒気など、風邪のような症状
  • アナフィラキシー症状(ワクチンへのアレルギー反応)

上記のうち、特に副反応として現れやすいのは局所的な症状で、より重篤な全身性の症状が出るのは、副反応が出る人のうち5~10%程度であるとされます。

予防接種による副反応は、早ければ接種から30分以内、遅くとも24時間以内に現れると言われますが、2~3日もすれば症状が治まるケースがほとんどです。

また、飲酒によって副反応が出やすくなるというデータも報告されています。予防接種後24時間以内の飲酒をさけるべきと言われているのは、このためなのです。

予防接種の前日に飲酒してもいいの?

厚生労働省が定めるガイドラインには、予防接種前日の飲酒について、その可否や量の制限をするような記載はありません。このため、基本的には予防接種の前日に飲酒してもOKと考えられます。

ただし、予防接種は原則的に健康状態の良いときに受けるべきとされるため、前日の飲酒によって二日酔いなどの体調不良があると、予防接種を受けられなくなることもあります。

予防接種前日は当日と同様、翌日の体調に響くほどの大量の飲酒は避け、適量を意識して控えめに飲むようにした方が良いでしょう。

おわりに:予防接種の前日と当日の飲酒は、できるだけ控えた方が無難

予防接種は、あえてウイルスなど病気の原因となり得るものをワクチンとして身体に投与し、発病に対する免疫をつけることを目的としています。飲酒して血流が増えると、人によっては普段よりも身体が弱った状態となり、副反応を引き起こす一因となる可能性があるのです。確実に安全に予防接種を済ませるためには、予防接種の前日と当日の2日間だけは、お酒の量を減らすか、飲酒を控えることをおすすめします。

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