記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
血管の老化度を示す「血管年齢」。この血管年齢の測定方法には、どんな種類があるのでしょうか。より精度が高いとされる検査方法についてもご紹介していきます。
血管年齢とは、血管のしなやかさ・硬さを基準とした血管自体の年齢のことです。血管の老化度、つまり動脈硬化(血管が硬くなること)がどれだけ進行しているかを表す指標でもあります。
この血管年齢は医療機関などで調べることができ、測定方法としては以下の選択肢があります。
心臓から血液を送り出す「拍動」は、「脈拍」として指先の血管に伝わります。この指先の末梢血管の脈拍を、「加速度脈波計」という検査装置で波形としてとらえ、血管年齢を測定する検査が加速度脈波検査です。人差し指をセンサーの中に入れることで、指先の脈の波形が記録されます。この波形から加齢指数を算出し、血管年齢を推算していきます。
PWV(Pulse wave velocity)とは、心臓から出た脈が血管を伝わる速度から、血管年齢を推定する検査です。仰向けに寝た状態で両腕と両足首にセンサーを巻き、動脈の壁を伝わる脈の速度から、血管年齢を推算します。
物理学的に、波は硬いものを伝わるときに速く進み、柔らかいものを伝わるときにはゆっくりと進みます。実際、健康な人の血管はゴムチューブのように弾力性があるので、脈波が血管壁で吸収されることで、ゆっくりと脈が伝わります。
しかし脈波のスピードが速ければ、血管が硬くなっているために脈波が血管壁で吸収されていない状態であることが疑われるのです。
仰向けに寝た状態で両腕と両足首で血圧を測定し、足首の収縮期血圧を上腕の収縮期血圧で割った数値から、足の動脈の狭窄具合を推定する検査です。ABIとは、Ankle Brachial Pressure Index(足関節上腕血圧比)のことで、下肢動脈の狭窄や詰まりを表す指標を意味します。
一般に、足の血圧は腕の血圧よりも高い数値となりますが、標準値(0.9~1.3)より低い場合は足に向かう動脈の内径が狭窄している可能性が、高い場合は血管の壁が硬くなっている可能性が疑われます。
仰向けに寝た状態で両腕・両足首の血圧と脈波を測定し、動脈の硬さを割り出す検査で、CAVIとは心臓(Cardio)から足首(Ankle)までの動脈(Vasculaor)の硬さを反映する指標(Index)のことです。
動脈は血液を全身に届けるポンプの役割を担っていますが、CAVI検査ではこのポンプの内側の圧力(血圧)が変化したときの膨らみを見ることで、ポンプの弾力性―動脈の硬さを確認します。つまり、CAVIの数値が高ければ高いほど、動脈硬化が進行しているという指標になります。
指先の脈波から血管年齢を割り出す加速度脈波検査は、指を入れてすぐに結果が出る便利な検査ではありますが、測定値の誤差が生じやすいというデメリットがあります。加速度脈波検査は指先の細い血管の脈をもとにするため、緊張していたり、運動直後だったりすると、本来の数値が得られなくなる恐れがあるのです。
血管年齢や動脈硬化の状態をより正確に把握したい場合は、CAVIとABIの同時検査が推奨されます。
先ほどご紹介したPWVの数値は、血圧やストレスに依存して変動することがあるので、実際の血管年齢よりも悪い数値が出てしまうことがあります。しかしCAVIは予め血圧の項が計算式に組み込まれているため、PWVよりも正確に動脈硬化の状態を把握できるとして、現段階で最も有用とされています。
そして、動脈の硬さを推算するCAVIに、下肢動脈の詰まり具合を推算するABIを組み合わせることで、動脈硬化の程度を総合的に判断することが可能になります。
ご紹介したように、血管年齢を測定する検査方法にはさまざまな種類があります。医療機関や病院によって実施している検査方法は異なるので、より正確な検査がしたいという方は、ご希望の検査場所で事前に問い合わせることをおすすめします。
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