インプラントのメンテナンスが欠かせない理由とは?

2018/1/31

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

インプラントは、抜けてしまった歯を補う義歯治療です。人工歯根を埋め込むため、かみ心地も自然で他の歯に負担をかけず、審美的にも優れているというメリットがあります。しかし、自然の歯や他の義歯(入れ歯やブリッジなど)に比べるとメンテナンスの手間がかかるというデメリットがあります。この記事でその理由について解説していきましょう。

インプラントはどんな治療法なの?

インプラントとは、齲蝕(うし:虫歯)や歯周病、外傷などの理由により歯がなくなった部位の顎の骨に、フィクスチャー(インプラント本体のネジ)を埋め込み、そのネジを土台にしてアバットメント(連結部)と人工の歯を装着する治療法です。歯を失ったときの治療法としてはブリッジや入れ歯がありますが、これらのデメリットを解消できる治療法として、インプラントが多くの歯科医院で導入されています。

インプラントにはどんなメリットがあるの?

ブリッジは他の健康な歯を削る必要があり土台の歯の寿命が短くなりやすくなります。入れ歯は違和感が強いうえ、部分入れ歯の場合はクラスプ(バネ)をかける歯に負担がかかります。
これに対し、インプラントは他の歯に負担をかけることがなく、天然歯と同等な審美性を取りもどせるうえに、高い咀嚼能力を回復でき(天然歯の約80%)、入れ歯のような装着の違和感もないというメリットがあります。

施術後のメンテナンスが欠かせない理由

インプラントの細菌感染「インプラント周囲炎」は、インプラント治療を受けるうえで特に注意する必要があります。インプラント周囲炎は、歯周病と同様に口中の汚れ(プラークや歯石)が原因で、細菌感染により歯肉や歯周組織に起こる炎症です。歯肉の炎症から始まり、歯周組織にまで炎症が拡がると、歯槽骨の吸収やインプラントの脱落を招きます。天然歯の歯周病と異なる点は、インプラントには歯根膜などの栄養血管が周囲にないため、抵抗力が弱く、進行しやすいという点です。急速に炎症が拡がってしまうため、重症化しやすいという特徴があります。

インプラントは骨としっかりと結合しますが、天然歯と比較すると粘膜との結合が弱いため、感染しやすいという欠点があります。したがって、歯ブラシやその他の器具を用いた患者自身による毎日の口腔清掃が極めて重要です。 さらに、治療後の良好な状態を長期維持するためには、定期的な経過観察が欠かせません。

どんなメンテナンスをするの?

患者本人で行うメンテナンスとしては、口の中の衛生状態を保つための歯磨きが挙げられます。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシなどを併用することで、磨き残しを防ぎ、インプラント歯周炎や歯周病、天然歯の虫歯を予防できます。

一方、歯科医院や歯科医師の元でのメンテナンスの内容や頻度は各機関によって異なりますが、一般的には下記のようなクリーニングや検診が行われます。

目視での確認

炎症や不具合の有無、同時に、日頃の歯磨きや、歯周ポケットが広がっていないかなどをチェックします。

かみ合わせの確認と調整

かみ合わせが崩れると、体のバランスにも影響をきたし顎関節症や頭痛などの原因となるため、定期的なチェックが必要です。インプラントを削るなど調整する場合もあります。

X線(レントゲン)撮影

アゴの骨やインプラント周辺の様子など、目視では確認できない内部をチェックします。

クリーニング

インプラントやその他の歯についた汚れを落とします。歯垢や歯石の蓄積は、インプラント周囲炎や歯周病の原因になるため、自分で落とし切れない汚れを定期的に落としてもらうことは大切です。上部構造を外してクリーニングを行うこともあります。

おわりに:日頃のセルフケアと歯科医院でのメンテナンスのどちらも重要

インプラントは、ブリッジや入れ歯といった他の方法のデメリットをカバーする治療法として、有効性を期待されています。しかし細菌感染を防ぎインプラントを長持ちさせるためには施術後のメンテナンスが不可欠です。自分自身の日常のメンテナンスに加え、定期的な受診により効果の維持に努めましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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