唾石症(だせきしょう)の手術療法:内視鏡下摘出術とは?

2018/2/8

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

唾石症(だせきしょう)とは、唾液が分泌する管の中に石ができて、分泌が思うようにできなくなる症状です。この記事では、唾石症の原因や症状とともに、治療法について解説します。

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唾石症(だせきしょう)について

唾石症(だせきしょう)とは、唾液が作られる場所から排出されるまでの通り道である管の中に石ができて、分泌がいつも通りにできなくなる病気です。唾液が作られてから排出されるまでにはいくつかの通り道がありますが、石ができて詰まってしまうのは顎下腺(がくかせん)がほとんどです。
唾石症を発症する原因は、通り道に炎症が起きた時や流れが停滞した時、他には唾液の性状が変化した時などです。唾液は食事中に分泌されることがほとんどですが、その時に唾液がスムーズに排出されないため、唾液腺のある顎の下が腫れて強い痛みを感じます。その後、徐々に症状が消えていくのが特徴です。

唾石症は早く治療したほうが良い?放置するとどうなるの?

唾石症は痛みや腫れといった症状が出ても、時間が経つと症状がなくなるため、放置してしまう人が多い病気です。できた石の大きさが小さい場合は、自然に排出されることもあるようです。しかし、石が自然に排出されるかどうかは大きさだけでは予測できませんし、一度石ができると、その周囲にカルシウムなどの成分が付着して石の大きさが徐々に大きくなる傾向があります。
石が大きくなると、手術して取り除くことが必要です。そうしないと唾液の分泌が妨げられて感染を起こし、腫れたり膿が出たりする恐れがあります。さらに、唾液腺の機能低下が起こると唾液が全く出なくなることもあります。そうなってしまう前に、しっかりと治療を行う必要があります。

内視鏡下摘出術は、どんな治療法なの?

唾石症の治療法として、手術で詰まっている石を取り除く方法があります。口腔内のどの位置にあるかを特定したら、局所麻酔を用いて粘膜を切開し、石を取り除きます。石が大きい場合や感染を繰り返している場合、もしくは唾液腺の機能が消失している場合など、重症の場合には顎下腺を摘出する手術が行われることもあります。
ただ、現在では内視鏡を使って唾石症の治療を行うことができるようになっています。導管から細い内視鏡を入れて石のある部位まで進み、石を掴んで取り出します。この方法だと体に傷跡が残らず、短時間で治療が行えます。時間は4~5mm未満の小さな石の場合で30分程度でできるため、外来で治療ができることもあります。

おわりに:唾石症は内視鏡下摘出術で治療できる。症状があれば早めに治療を

唾石症の症状は、唾液が分泌されるとあらわれ、その後症状が落ち着くという特徴があります。このため、症状が出ていても放置することが多いのですが、治療しないと感染を起こして腫れたり、膿が出たりする恐れがあります。内視鏡を使った治療なら、比較的短時間で終わりますので、症状が出ていたら早めに治療することをお薦めします。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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