盲腸は子供の病気ではない。大人の盲腸(急性虫垂炎)の危険性とは

2018/2/8

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

急性虫垂炎は、発症すると腹痛などの症状が現れます。俗にいう「盲腸」であり、近年は治療技術が向上したことで死亡率は大幅に減ったといわれています。子供のころに発症することが多いというイメージがあるかもしれませんが、大人も盲腸になることがあるのです。この記事では、盲腸(急性虫垂炎)の危険性について解説しています。

盲腸(急性虫垂炎)はどんな病気?

盲腸(急性虫垂炎)は、盲腸の先に突き出た突起である虫垂に化膿性の炎症が起こる病気です。約15人に1人が一生に一度この病気にかかるといわれています。青年期と20代に発症例が多いとされていますが、どの年齢でも発生します。

主な症状は、腹痛、食欲不振、発熱、吐き気、嘔吐などです。約半数のケースでみられる典型的な経過としては、上腹部やへそのまわりが突然痛み出し、次に発熱、吐き気や嘔吐、食欲不振が起こります。数時間もすると吐き気は止まり、数時間から24時間以内に痛みが右下腹部に移っていきます。

急性虫垂炎の原因はまだ完全には解明されていませんが、糞便(糞石)や異物、リンパ組織の過形成、腫瘍などで虫垂の入り目がふさがったり、狭くなることがきっかけで虫垂の内圧が上昇して血行が悪くなり、そこに細菌が進入して感染を起こし急性の炎症が起こることで発症すると考えられています。

大人の盲腸が危険な理由とは?

急性虫垂炎は早期に適切な治療をされれば予後は良好とされていますが、治療のタイミングを逃してしまったり病院に行かずに放置してしまうと、虫垂が破裂し、細菌やウイルスを含んだ腸の内容物や膿が腹腔内へ漏出して膿瘍(感染による膿がたまったもの)を形成したり、腹膜炎を起こすことがあります。

腹膜炎が起こると、我慢できないほどの強い痛みに襲われ、血圧が急激に下がるなどしてショック状態になり、死に至る恐れもあります。また、細菌が血流に乗って全身に広がると敗血症になり、命を脅かすこともあります。早期に手術を行えば死亡率は1%未満といわれていますが、早期の治療が必須です。特に体力が弱い高齢者はリスクが高まるので注意しましょう。

盲腸が進行する前に病院で診てもらおう

早期に手術をすれば、死亡する可能性はかなり低く、一般的には術後の回復も早いといわれています。ただし、高齢者では回復までの時間が若干長くなることがあります。

他方、急性虫垂炎で手術や抗菌薬での治療を行わない場合の死亡率は50%以上とされています。
また急性虫垂炎を発症した虫垂は、症状が出現してから36時間以内に処置を施さないと破裂する可能性が高くなるといわれています。

上記で説明したように、虫垂が破裂すると予後はさらに悪くなり、手術を繰り返すことになってしまったり、命に危険が及ぶ可能性もあります。
虫垂炎は自然治癒する病気ではありません。疑わしい症状があるときは、安易な自己判断は控え早急に受診しましょう。

おわりに:盲腸と思われる腹痛を感じたときは、すぐに病院へ行こう!

盲腸は、時間とともに悪化する病気です。発症初期は炎症が軽い状態ですが、進行すると腹膜炎を併発する場合もあり、治療しないまま経過する時間と危険性は比例関係にあります。腹膜炎を併発すると命に関わることもあるため、初期段階での発見・早期治療が重要です。盲腸と思われる自覚症状がある場合はすみやかに病院の診察を受けましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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