前立腺がんの転移と再燃・再発について 早期発見のために大切なこと

2018/2/8 記事改定日: 2018/5/21
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

前立腺がんは、男性特有の器官である前立腺のがんです。進行が遅く高齢者の発症が多いため、寿命に影響することが少ないといわれていますが、転移の可能性があるため軽視はできません。また、治療後は転移、再発・再燃のリスクがあります。この記事では、前立腺がんの転移や再発・再燃のリスクについて解説しています。

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前立腺がんの転移の種類 ― どの部位に転移する?

がんは血液やリンパを介して他の臓器に転移することがあります。がんが転移すると、手術や放射線治療による完治は難しくなり、がんの進行を抑えることが治療の中心になっていきます。

前立腺がんの転移しやすい部位は骨や骨盤リンパ節とされていて、約8割以上が背骨や肋骨、骨盤などの骨への転移といわれています。前立腺がんの転移が疑われた場合には、骨シンチグラフィー検査やFDG-PET/CTをします。この検査で、がんがどこの骨に転移しているかを確認し、治療の方針を決めていきます。

また、リンパ節への転移も約4割の割合を占めるといわれています。特に多いとされているのは、骨盤の中で前立腺周辺にあるリンパ節です。

再発率、余命・生存率

前立腺がんは、他のがんと同様に転移や再発の可能性があるがんです。他の臓器への転移がなければ、手術や放射線治療で10年の生存率80%以上が期待できるとされていますが、転移した場合は5年の生存率が45%になるといわれています。

前立腺がんの再発や転移はPSA検査で発見できる?

前立腺がんに対してホルモン治療、手術、放射線療法などの治療を行った後、PSAを定期的に検査していくことになります。それぞれ治療法に応じて再発と判断されるPSAの値は異なりますが、PSAの上昇をみた場合は注意が必要です。しかし、PSAだけに頼っていると。ときに落とし穴があります。まれにではありますが、PSAの上昇を伴わない再発や転移を認めることもあるのです。PSAが上昇していなくても、腰痛を認める場合は骨転移を疑って検査するなど、PSAに頼りきらない対応が必要になることがあります。

定期検査の重要性

前立腺がんは転移によってはじめて症状が出現することも多く、初期の段階では発見が難しいがんの一つです。再発・転移も同様であり、最初のうちは無症状であり気が付く事ができません。そのため前立腺がんの治療を受けた後は、定期的にPSA検査を行うことが重要です。また、先に述べた通り気になる体調の変化や体の痛みがある場合は、遠慮なく主治医に伝えてみましょう。

前立腺がんが再燃・再発したときの治療法について

転移が確認できず、前立腺だけでがんがとどまっていた場合は、手術や放射線治療で完治を目指します。しかし、すべてを除去しても小さながんが残存していたり、転移したがんが小さくて発見できなかった場合は、これらのがんが進行した後に再発見されることがあります。これをがんの「再発」といいます。

前立腺がんの治療には、ホルモン療法、外科治療(手術)、放射線療法、監視療法などがあり、がんの状態や患者の健康状態、患者の希望などを考慮したうえで、治療方法が選択されます。これらの治療でがんの進行が止まっていたものが、再び進行し始め症状などが再び現れることを「再燃」といいます。

再発や再燃のあった場合は、初期に行った治療法に応じて治療方法が変わります。最初に手術療法を行った場合は、救済放射線治療やホルモン療法を行い、放射線治療を行っていた場合はホルモン療法を行うのが一般的です。ホルモン療法を行っていた場合は、抗がん剤(抗アンドロゲン剤)を使用します。

治療後の予後・余命

前立腺全摘後に再発を認めた場合、がんの顔つきの悪さ(グリーソンスコア)、PSAが倍になるのにかかった時間、術後どのくらいの期間で再発したか、などの要素によって、予想される余命は2年~30年以上と大きく異なります。がんの再発後、特に日常生活で気をつける事はありませんが、骨転移を伴う場合は骨折を防ぐため転倒に気をつけるなど、医師の指導に従ってください。医師の計画通り検査や治療を進めてください。

おわりに:早期発見で転移を防ぐためにも、定期的な検査を忘れずに

前立腺がんは、高齢での発症が多く進行も緩やかなため寿命に影響しないことが多いといわれています。ただし転移の可能性があるため、早期発見と早期治療ができるように備えておく必要はあるでしょう。前立腺がんは初期症状がほとんど現れないため、定期的に検査することが非常に重要です。1年に1度は前立腺がん検診を受けることをおすすめします。

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