記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/13 記事改定日: 2019/4/18
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
塩分の摂りすぎが体に悪いことはご存知かと思いますが、その理由はご存知でしょうか。
この記事では、塩分の摂りすぎのリスクと塩分摂取量の減らし方について解説しています。
無理せず楽しみながら健康管理ができるように、参考にしてください。
塩分の摂りすぎは、健康に良くありません。それは生活習慣病のリスクが高まるからです。特に高血圧のリスクが高まります。
塩分を過剰に摂取すると、血液中のナトリウムが増加します。すると、血液濃度を一定にしようとして血管内に水分が取り込まれて血液量が増加し、血圧が上がります。
また、ナトリウムには交感神経を刺激する作用があります。交感神経が刺激されると血管が収縮し、血圧が上がります。
高血圧は動脈硬化などのさまざまな病気の要因になり、動脈硬化の進行は、脳梗塞や心筋梗塞、腎臓疾患のリスクを高めます。
厚生労働省は、「日本人の食事摂取基準」というものを定めています。2015年度版によると、1日当たりの塩分摂取目標量は男性が8.0g未満、女性が7.0g未満となっています。一方で、実際の1日当たりの摂取状況はどうなっているかというと、2016年年国民健康・栄養調査報告におよれば、20歳以上の成人で9.9g(男性が10.8g、女性が9.2g)となっています。このように、日本人は塩分の摂りすぎの傾向にあるといえます。
では、なぜ日本人は塩分を摂りすぎてしまうのでしょうか。その理由は大きく2点あります。
1点目は、日本人が好む日本食には塩分が多く含まれているからです。普段からよく使う、しょうゆや味噌には塩分が多く含まれています。ちなみに、1日に摂取する塩分の内、約30%をしょうゆと味噌から摂っているという報告があります。
2点目が、加工食品の摂取量の増加です。加工食品には塩分が多く使われています。さらに加工食品は調理の過程の中で、カリウムが失われます。カリウムには塩分の排泄作用があるのですが、それが失われているので、塩分が体内に蓄積しやすくなるのではないかと考えられています。
基本的に、市販されている加工食品は濃い味付けのものが多く、多量の塩分が含まれています。このため、減塩を意識するのであれば加工食品を避けた方がよいでしょう。
特に、以下のような加工食品は塩分が多く含まれますので、程々に控えることが大切です。
まず、外食や加工食品は控えましょう。なるべく自炊を増やすようにしてください。調理の際には、食材の味を活かすような味付けにすると塩分が抑えられます。また、塩による味付けは調理の寸前に行うようにしましょう。人間は塩分には敏感なので、少量でもおいしく味付けできるはずです。
調味料を選ぶ際には、なるべく減塩タイプのものを選ぶようにし、カリウムには塩分を排出する作用があるので積極的に摂るようにしましょう。カリウムを多く含む食材としては、野菜、果物、肉、魚介類が挙げられます。カリウムは調理をすると失われてしまうので、生で食べられる食品の場合は、生のまま食べることをおすすめします。
カリウムの他にも、マグネシウムやカルシウムにも、塩分排出を促進する働きがあります。
ただし、持病がある人はカリウムなどの摂取が制限されている場合もあるので、医師の指示通りに食事を摂るようにしてください。
減塩を目指すには調味料や料理方法にも工夫が必要です。
特におすすめの方法は、出汁の活用です。かつおぶしや煮干し、鰹節などでしっかりとった出汁にはうまみ成分が多く含まれ、塩分をプラスしなくても十分な味付け効果があります。
汁物や煮物、炒め物など様々な料理に使うことができますので、ためしてみましょう。
また、薬味の活用も減塩効果が期待できます。ネギや大葉など味がしっかりある薬味を加えることで、しょうゆや塩などの調味料を減らすことができます。
日本人はその文化的な観点から、塩分を摂りやすい食生活を送っています。塩分の過剰摂取は高血圧につながり、大きな病気のリスクが高まります。
とはいえ、美味しくない食事は長続きしません。減塩タイプの調味料や味付けを工夫しながら、食事を楽しめるような減塩生活を送ってくださいね。